Excessive love.
そう考えている間にも朝倉さんはオフィスに戻ってきてまっすぐ自分のデスクに向かっていった。

長時間の会議は疲れた様で、座るなり一息吐いて、それからマウスに手を置いて仕事を始めた。私もその姿を見て仕事に戻り、定時までしっかり業務をこなす。

仕事も良い所まで終わり、そろそろ帰宅しようかと考えていると「先輩、この後お時間ありませんか?」と女性に声を掛けられ振り向いた。

そこにはちょっと申し訳なさそうな顔をした姫野さんが居て、構えてしまう。


「何。」

「ちょっと相談したくて…。」

「私に?何の?」

「りゅうくんの事で。」


りゅうくん、は浮気発覚したあの日に、初めて姫野さんが隆太をそう呼んでいた事を知った。いまだにその名前で呼んで、私に相談を持ち掛けてくるあたりが、とても嫌な気しかしない。

もう巻き込まれたくも無いからこの話を受ける必要なんて無いと思った。


「私とあの人はもう無関係だから、相談されても困る。」

「でも、私も困ってるんです…。先輩にしか話せなくて…。」


突き放そうと思っていたのに、何となくここまで絡んでくる姫野さんの考えている事を知っていた方が良いんじゃないかと思えてきて、話だけでもした方が…と考えて、その誘いを受けることにした。

駅前のカフェで待ち合わせをして、それから朝倉さんに何か言うべきか悩む。外では仮の交際だとして関係を結んでいても、家に戻れば別に今までと変わらない。

言う必要はないと何も言わずそのまま鞄を持って、オフィスから離れた。
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