Excessive love.
「行くなって…、どうしてですか?」

「どうせ碌な話じゃないから。君がこれ以上進んで傷付きに行く必要がない。ましてや浮気した元カレの話を、奪ってきた奴と話すなんて正気じゃない」

「でも…」


 話を聞いてからじゃないと必要か必要じゃないかの判断が出来ないと言い返そうとしたら、朝倉さんがそっと私の手を握って「行かせない」と言い、その間強くまっすぐな瞳でこちらを見てきていた。

 私が行くと言ってもこのまま離してくれる気はないらしい。このまま予定をキャンセルしてしまうのが気がかりで、朝倉さんにどう返事をしようか悩んでいた。

 そんな私の態度に朝倉さんは軽く一息を吐いて、首を横に振った。


「言い方変える。君にもう元カレの事を考えてほしくないから、今日は俺と一緒に帰って」


 仮初の恋人なのに本物の恋人の様に甘い束縛をしてくる。貴方を好きな私からしたら、そんな言い方をされたら言う事を聞くしかない訳で、当然抗う方法も無いし抗いたいとも思えなかった。

 朝倉さんから目を逸らして、大人しく頷いた。そんな私に安心した様に笑って「少しだけ待ってて。荷物取ってくる」と言って、オフィスに戻って行った。

 その間にスマホを取り出して、メッセージで姫野さんに行けなくなったと連絡を送っておいた。

 今もまだ鼓動がうるさく鳴っている。
 次に朝倉さんが私の元に来るまでにおさまっていてほしい。
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