Excessive love.
「…恋なんて、久しぶり過ぎて気付かなかったけど、こんなに一緒に居たいって思うのは、恋だから?」

「そ、そんなの、私に聞かれても困ります…。」

「俺達、今はまだ偽装恋愛中だろ?分かるまで、この関係終わらせたくないんだけど、ダメかな?」


そう言いながら私に少し身体を寄せて顔を覗き込んでくる朝倉さんに、心臓が更に早くなった。

降りている前髪の隙間から真っ直ぐこちらを見ている目と目が合って、逸らせなくなる。


「分かるまで…って?」

「新田ともっと恋人らしく過ごしてみたい。そしたら、新田に対しての感情が恋か分かるかも。」


そう言って私の手を取ると、その手を朝倉さんの胸元に当てさせられる。自分の心臓の音がうるさくてそれにしか気が向かない。

朝倉さんも同じように鼓動が早くなっているのかとか、分からない。


「…あの、朝倉さん。」

「ちょっと勝手すぎるよな、こんなの。俺の気持ちしかないし。」


そう言って控えめに笑うと「でも、知りたい。この感情の意味。」と言ってから、今度は私の掴んでいた手を口元まで持って行って、手の甲に軽く口付けてくる。

まるでお姫様の様に扱ってくる朝倉さん。今まで付き合っていた相手にも、こんな風に扱われたことは無いのに、彼氏でもない、ただの上司であるはずの朝倉さんが私を凄く大事に扱ってくれる。

お姫様の様に扱われるのはきっと優花みたいに可愛い女性だけだと思って諦めていたから、今叶ってしまっていてときめきが収まらない。
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