Excessive love.
「遠回しな話とか、口説いたりとか、そう言うの苦手だから気の利いた言葉は何も言えないけど…、聞いてくれる?」


こんなに緊張するのは久しぶり。直樹さんの言葉に頷く。

その後の言葉を待っていると真剣な表情でこちらを見ていて、目が離せなくなる。

直樹さんがテーブルに乗せている私の手を握ると「君に惹かれてる。」と真っすぐな言葉をくれる。


「え…、本当に?だって、まだ恋か分からないって…。」

「こんなに誰かの事をいつも考えてしまうのも、守りたくなるのも君以外に居なくて、君だからなんだなってようやく気付いた。」


その言葉に目頭が熱くなった。

私には釣り合わない人だと思っていたし、まさか好きになってもらえるなんて全く思っていなかったから。ここで私も好きだと伝えたいのに言葉が出て来なくて、上手く返せない。


「これからは俺が君を幸せにしたい。」

「…はい。こちらこそ、お願いします。」


私の返事を聞くなり「良かった」と少しはにかんでいて、可愛らしい。先程まで格好良く言葉をストレートに伝えてくれていたのに、このギャップにはまってしまう。


「…私も、ずっと直樹さんが好きです。」

「え、本当に?全然気付かなかった。」

「脈が無いと思っていたので…。」

「君は素敵な人だから、近くに居たら誰だって惹かれるよ。」


今回の恋人は自己肯定感すらも上げてくれるらしい。

嘘を吐く様な人では無いから本心で言ってくれていると分かるけれど、あまりの甘さにどう受け止めてどう返して良いのかも分からない。

慣れていないのだ、この甘さに。
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