Excessive love.
 今夜、初めて同じ部屋で過ごす。もちろん、ここに来た時点でただ一緒に眠るだけでは済まないことくらい分かっていた。もう子供ではないし、仮に正式な交際前だったとしても、今の私ならきっと彼からの誘いを断ることはなかったと思う。

 腕の中に収まったまま少しだけ顔を上げると、直樹さんも私を見つめていた。視線が重なると、彼は笑みをこぼすと「可愛いな。そんな上目遣い」と言って、私の額に優しく口付けを落とした。


「さ、まだ俺にも大人の余裕が残っている内にシャワーを浴びといで」

「先頂いてもいいんですか?」

「いいよ。夜更かしは慣れてるから起きて待ってられると思うし。テレビでも見ながら待ってる」


 直樹さんの言葉に背中を押され「じゃあ…」と私は洗面所へ向かった。

 アメニティは完璧に揃っている。鞄の中には、もしもの時のために最低限の化粧道具も忍ばせてあるから、帰る時にみっともない姿を見せる心配もないはず。

 鏡の前で深く呼吸をし、荒ぶる気持ちを落ち着かせようとしたけれど…、用意されていたバスタオルの横に、ふかふかのバスローブが並んでいるのを見て、私はその場に崩れ落ちそうになった。

 バスローブは…、なんか、駄目じゃない?

 まだ見てもいないのに、直樹さんがそれを身に纏った姿を想像しただけで、凄まじい色気に当てられたような気分になる。

 本気で好きな人を前にすると、人間はポンコツになると、ずいぶん前に及川くんがそんなことを言っていた気がするけれど、今ようやくその言葉の意味が理解できた。

 どうやら私も、そのタイプだったらしい。
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