Excessive love.
「…実季?」
「あ、すみません。眠くはないです」
「実季も結構夜強いんだな。俺も実は平日でもこの時間でも起きてたりする。時々寝落ちするけど」
そう言って悪戯っぽく笑いながら、直樹さんが冷蔵庫へ向かった。「実季がお風呂に入っている間に届けてもらったんだけど、飲む?」と取り出したのは、一本の赤ワインだった。
今日はもう、それなりに飲んでいる。これ以上重ねたら確実に酔ってしまう気がしたけれど、…今のこの心臓の音を鎮めるには、むしろ酔ってしまった方がいいのかもしれない。
そう考えて「いただきます」と短く返事をし、グラスの準備を手伝うために直樹さんのそばへ歩み寄った。緊張しすぎてしまうのは良くない気がしたから、もう少しだけ、お酒の力を借りて心を解こう。
受け取ったグラスをリビングのテーブルへ並べる。直樹さんは慣れた手つきでコルクを抜くと、深い赤色の液体をグラスに注いでくれた。
「というか、お酒強いですね」
「そうかも。飲み方が単純にわかっているだけかもしれないけど、若い頃みたいに頻繁に酔うことはなくなったかもな」
「若い頃ってまだ三十四じゃないですか」
「もうでしょ。実季の五個上なんて、おじさんかもな」
「やめてください。そんなことないですから」
私の必死な否定が可笑しかったのか、直樹さんは笑った。
見た目はまだ二十代後半と言われても疑わないほど若々しいのに、もう三十代半ばを迎えようとしているなんて、とても信じられない。
直樹さんはワイングラスを口元へ運び、そのまま優雅に傾けた。
喉が小さく動くのを、私は見つめていた。
「あ、すみません。眠くはないです」
「実季も結構夜強いんだな。俺も実は平日でもこの時間でも起きてたりする。時々寝落ちするけど」
そう言って悪戯っぽく笑いながら、直樹さんが冷蔵庫へ向かった。「実季がお風呂に入っている間に届けてもらったんだけど、飲む?」と取り出したのは、一本の赤ワインだった。
今日はもう、それなりに飲んでいる。これ以上重ねたら確実に酔ってしまう気がしたけれど、…今のこの心臓の音を鎮めるには、むしろ酔ってしまった方がいいのかもしれない。
そう考えて「いただきます」と短く返事をし、グラスの準備を手伝うために直樹さんのそばへ歩み寄った。緊張しすぎてしまうのは良くない気がしたから、もう少しだけ、お酒の力を借りて心を解こう。
受け取ったグラスをリビングのテーブルへ並べる。直樹さんは慣れた手つきでコルクを抜くと、深い赤色の液体をグラスに注いでくれた。
「というか、お酒強いですね」
「そうかも。飲み方が単純にわかっているだけかもしれないけど、若い頃みたいに頻繁に酔うことはなくなったかもな」
「若い頃ってまだ三十四じゃないですか」
「もうでしょ。実季の五個上なんて、おじさんかもな」
「やめてください。そんなことないですから」
私の必死な否定が可笑しかったのか、直樹さんは笑った。
見た目はまだ二十代後半と言われても疑わないほど若々しいのに、もう三十代半ばを迎えようとしているなんて、とても信じられない。
直樹さんはワイングラスを口元へ運び、そのまま優雅に傾けた。
喉が小さく動くのを、私は見つめていた。