Excessive love.
「もう、本当に諦めてたんだ。この年齢で恋愛なんて。あんな惨めな思いをするくらいなら二度としなくてもいいって思っていたし」

「…そう、ですよね」


 直樹さんの静かな語りに、胸が締め付けられる。

 私の場合、元彼に裏切られたダメージは、直樹さんのものとは少し違うかもしれない。隆太に裏切られて傷つかなかったわけではないけれど、それ以上に私はいつも強く見られて雑に扱われるという虚しさや、この年齢で一人になったら、もう結婚なんてできないだろうなという将来への不安が、ずっと重かった気がする。

 実際、別れてから立ち直るまでに、それほど時間はかからなかった。

 立ち直ってからは恋愛なんて面倒だ、とすら思っていた。これまではいつも告白されて、なんとなく流れで付き合ってきた私にとって、誰かを自ら好きになり、焦がれるような片思いをするなんて、想像もしていなかった。

 だから、お気持ち分かりますなんて軽々しい言葉は、絶対に口にしたくない。

 今の私にできることは、彼の過去の痛みを理解することよりも、これから先、二度と同じ痛みを彼に味わわせないことだと思った。


「ていうか、いつから好きだった?」

「あ…、え!? そういう話今聞きます!?」

「気になるだろ。聞かせて」


 それまでの真剣なトーンから一転、どこか私をからかうような笑みを浮かべる直樹さんに、一気に顔が熱くなった。

 いつから好きだったかなんて、本人を目の前にして話すのはあまりに照れ臭すぎる。
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