Excessive love.
「あのデートで良い事あった?」

「まあ、良い事はあったけど、及川くんはクソガキだからからかってきそうだし、話さない」

「俺そう言うことしないよ? 紳士だし」

「はは、起きてるのに寝言言うなんて変な人ね」

「寝言じゃねぇし。親友に聞いてみな?」

「優花に聞いても紳士とは答えないんじゃないかしらね」


 及川くんは笑い、また手元の作業に戻っていった。

 こんな軽口を叩き合えるくらいには、私達は仲が良い。実を言うと、仕事の合間のこんなやり取りも、私は密かに楽しんでいたりする。

 そもそも、私が優花と仲良くなったきっかけは及川くんだった。

 入社してすぐの同期会で、人見知りをしていた私に最初に話しかけてくれたのが及川くんだった。彼と話している最中に、同じく同期だった優花を紹介された。

 それから優花とは経理課に顔を出すようになって頻繁に言葉を交わすようになり、今のかけがえのない友情がある。

 だから、こんな風に雑な扱いをしながらも、内心では彼に深く感謝している。誰とでも臆せず話し、人と人との縁をさらりと繋いでしまう彼の立ち振る舞いは私にはないもので、純粋に尊敬もしていた。

 そんな私の視線を感じたのか、及川くんが再度こちらに顔を向けた。


「何、見惚れた?」

「そんなこと万が一も無いから安心していいわよ。優花が居なかったとしてもないから」

「ないって分かってるから聞いてんだよ」


 軽口の応酬を済ませると、私も気持ちを切り替えて自分の作業を再開した。
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