Excessive love.
 仕事を終えて自宅に帰ると、玄関に見慣れた靴があった。今日は安住さんが来る日だったことをすっかり失念していたけれど、その靴を見るなり、急いで家の中に入った。

 リビングへ向かうと、キッチンには安住さんが立っていた。私の姿に気付くなり、彼女は満開の笑顔を向け「おかえりなさいませ!」と声を掛けてくれた。


「安住さん! お久しぶりです!」

「最近、実季さんが何もかもやってくださるからって、朝倉さん全然呼んでくれなくなって…」


 わざとらしく溜息をつく安住さんの様子に思わず笑ってしまう。


「最近直樹さんも家事頑張ってるの知ってます?」

「え、あの朝倉さんが?」

「そうなんです。料理も、洗濯も、掃除も!」

「わ…、完全にこれは実季さんパワーですね…?」

「そんなことは無いと思いますけど…」


 照れくさくて否定していたその時、玄関のドアが開く音が響いた。

 安住さんと顔を見合わせ、二人で玄関へと続くドアを開ける。


「おかえりなさい!」

「ただいま」

「おかえりなさい! 朝倉さん!」

「そっか、安住さん来る日今日だったか。ただいま」


 靴を脱いでリビングへ入ってきた直樹さんを、安住さんがなぜか腕を組んで見ていた。直樹さんはその安住さんの態度に、不思議そうに首を傾げている。

 先ほどまでの柔らかな表情をどこへやったのか、安住さんは険しい表情をしていた。


「朝倉さん、私に言うべきことはありませんか?」

「え、なんだろう。安住さんに怒られる様なこと最近したかな…」


 直樹さんが本気で困ったような顔を見せると、安住さんは堪えきれなくなったように口元を緩ませ、突然彼の背中をパチンと叩いた。
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