離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
私は外へ出行くと、門のロックを外して彼女を玄関先まで案内し、まずは用件を聞く。
「あの、珀人さんに頼まれたことというのは……」
「間もなく出張へ向かわれる社長に、お使いを頼まれているんです。悠花さんはご在宅だと伺ったので、何度もインターホンを鳴らしてしまってすみません」
「お使い……?」
「必要な書類を家に忘れたそうなんですが、ご本人は会議中で身動きが取れなくて。社長は悠花さんがご対応くださるとおっしゃっていました」
「そう……なんですね」
珀人さんには確かに早退した旨を伝えたけれど……体調が悪いとわかっているのに、そんな指示をするだろうか。
でも、本当に困っている可能性もないとはいえない。会議中なら連絡しても無駄だろうし、どうしよう。
もしも鞠絵さんでない人が取りに来たのなら、すんなりと家に上げたかもしれない。でも……なにかが引っかかる。
必死で頭を働かせるものの、体の調子が悪いせいで考えがまとまらない。
「ご迷惑でなければ、一緒に探させてもらってもよろしいでしょうか? 私なら、書類が入っている封筒を見ただけですぐにわかります。もちろん、関係のないものに手は触れませんから」
「……わかりました」
私は鞠絵さんにスリッパを出し、寝室へと案内した。