離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「この子が、ちゃんと夫婦で愛し合った末にできた子でよかった」
私は頬に添えられていた珀人さんの手を取り、布団越しにお腹の上に置いた。
珀人さんはそこをゆっくりと撫で、笑みを深めて頷く。
「過去形じゃない。……俺たちはまだまだ愛し合う。夫婦なんだから」
愛おしそうな目をした彼が顔を近づけてきて、優しいキスが触れる。すっかり愛情表現が得意になった珀人さんに、身も心も甘やかに満たされた。
十月に異動してきてからわずか一カ月余りで、真木さんはアプリ開発課のみならず、Zアドバンスを去ることとなった。
彼の犯した行為は刑事事件にはできないものの、珀人さんは民事訴訟できっちり落とし前をつけさせようと、腕利きの弁護士に相談している。
「大変な思いをした悠花さんにこういうこと言うのはあれですけど、ろくでもない上司を駆逐できてホントよかったですよね」
真木さんが私たちのオフィスから去ってひと月余り。街はクリスマス前のワクワク感に満ちているが、年末年始に心置きなく休むためにも、私たちはバタバタと忙しい。
妊娠四カ月となった私は悪阻のピークを過ぎ、落ちていた体重が段々と元に戻るとともに、私は心身ともに回復していた。
仕事は珀人さんと話し合った上で、産休まで続けることを決めている。