離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
彼女の先導で、病院前の通りの角にあるカフェの入り口をくぐる。
大きな窓に囲まれた明るい店内にはナチュラルテイストの家具が並び、一緒にいるのが鞠絵さんさんでなければ、素敵なお店だと素直に喜べたかもしれない。
空席に余裕があり、どこでも好きな席へと店員に勧められると、鞠絵さんは一段と明るい窓際、四人掛けのテーブルを選んで席に着く。
「悠花さんは、なにを飲む?」
親切な調子で、鞠絵さんがドリンクメニューを差し出してきた。さすがに何も頼まないわけにはいかないので、カフェインの入っていないドリンクを探す。
「この……ココアラテにします」
「そう。それじゃ、私も同じものにしようかしら」
どういう風の吹きまわし……? と、声に出さずに思う。
珀人さんに好意を寄せていた彼女は、会社や自宅に押しかけて嫌がらせをするほど、珀人さんの妻である私をよく思っていなかったはずだ。
あれから少し時間が経ったとはいえ、いきなり和気あいあいと同じ飲み物を注文して笑い合うなんてことできないし、私はしたくない。