離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「あなたと同じでね、今、コーヒーが飲めないの」
「えっ……?」
「だからあの病院にいたのよ。服のせいであまり目立たないかもしれないけれど、今、妊娠五カ月なの」
鞠絵さんは穏やかに微笑んで、自分のお腹に手を置く。
元々痩せているし、今日は体のラインがわからない服を着ていたから余計に驚いたけれど、さすがに妊娠したなんて嘘はつかないだろ
う。病院で鉢合わせたのは事実だし……。
「……そうだったんですね。おめでとうございます」
「ありがとう」
鞠絵さんが話したかったのは、もしかしてこのことだったのかな。赤ちゃんができた影響で心が丸くなり、だからこそ私を誘って和解したかったとか。
でも、赤ちゃんの父親は誰なんだろう。今五カ月ということは、まだ珀人さんの会社にいた頃に授かった子ではないだろうか。
脳裏に薄っすらと、元上司の顔が浮かぶ。彼と鞠絵さんはそういう関係だったからこそ意気投合したようだったし、あり得ない話ではない……?
色々な想像を巡らせているうち、私たちのもとへそれぞれのココアラテが運ばれてくる。
甘い香りにほんの少し心が和み、カップを手に取って口に近づけた時だった。
鞠絵さんがふと、長い睫毛を物憂げに伏せる。
「でもね、悠花さん。……この子が財前社長の子だったとしても、同じように祝福できる?」