離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
それまで穏やかだった彼の目が、パッと見開かれて輝きを放つ。我が子の性別は、珀人さんもかなり気になっていたみたいだ。
「それで、どっちだって?」
「確定ではありませんが、男の子の可能性が高いそうです」
「男の子……。そうか、どうしようか、名前」
「そんなに焦らなくても。まだ出てくるまでに三カ月くらいありますよ」
途端にソワソワし始めた彼が微笑ましくて、つい小さく笑ってしまう。
「三カ月なんてすぐだろう。かわいいだろうな……ランチの後でカメラを買いにいこうか。家族の思い出をたくさん残すために」
「私、ベビー服が見たいです。靴やおもちゃも」
「それじゃ、今日はショッピングデートだな。でも、歩き疲れたらすぐに言うんだぞ」
「わかってます。無理はしません」
こうしてたわいない話をしながらふたりで温かい飲み物を飲んでいると、優しい気持ちで胸が満たされていく。
四人掛けのテーブルに夫婦横並びで座る恥ずかしさは感じていたけれど、幸せだからいいやと、周囲の視線にはあえて鈍感になることにした。