離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「……ありがとう。本当にお疲れさま、悠花」
「はい……。珀人さんがいたから、頑張れました。私たちの赤ちゃん……かわいいですか?」
「ああ。世界一かわいいよ」
間髪入れずに頷いて、労うように悠花の頬を撫でる。
赤ちゃんの体重をはかってもらうと、三千グラムを少し超えたくらいだった。
タオルにくるまれた我が子を、看護師から渡される。
ずっとお腹にいたから、また外の世界が眩しいのだろう。目はまだ開いておらず、タオルにくるまれた小さな体は、しっかり重くて温かかった。
「悠花、ほら。俺たちの子だ」
「本当……かわいい。ありがとう、私たちのところへ来てくれて……」
悠花が涙ながらに手を伸ばし、赤ちゃんの髪をなでる。
震える手にはまだうまく力が入らないようで、こんなにも命をかけて俺たちの子を産んでくれた彼女が、愛しくてたまらない。
あの時離婚していたら、俺たちはこの子に会えなかった。悠花と夫婦でいることをあきらめなくて本当によかったと、これまでで一番強く思う。
これからはなにがあっても、俺がふたりを守っていく。そんな覚悟もいっそう深まった。