離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
「きみは賢い女性だ。花束くらいでごまかされてくれないのはわかっている」
「そ、そうですか。でも、だったらどうして……?」
「今の俺は……とにかく必死なんだ。どうしたら過去の自分がきみにしてきたことの償いができるか、そればかり考えている。効果がないかもしれなくても、手当たり次第に試さないと気が済まない。だからあの夜きみを抱いたし、今日はこうして花束を贈った。……なぁ悠花、離婚したい気持ちにまだ変化はないか?」
俺は焦れたように問いかけ、一歩彼女に近づく。
悠花は切なそうに瞳を揺らし、きゅっと下唇を噛んだ。
「同情で一度だけ抱いて、思いつきで一度だけ花束を贈って、それで関係が修復できるとお思いですか? 今の言い方では、私が離婚をやめると宣言した途端、また以前の珀人さんに戻ってしまうとしか思えません」
感情的に声を張り上げた悠花。花束を握る手に力がこもって、花が少し潰れている。
それはまるで俺のせいで傷ついた悠花の心を表しているようで、思わず目を逸らす。
「今のは俺の言い方が悪かった。しかし、決して同情できみを抱いたわけじゃない」
「だったら義務感ですか? いずれ子どもを授からないと、財前の家は困ってしまいますからね」
「悠花、そうじゃない。落ち着くんだ」
「無理です……!」
彼女の腕を掴んだ瞬間、振りほどかれてしまう。怒りのせいか肩を上下させて息をする悠花は、抱えていた花束を無理やり俺に押しつけた。