離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
俺はいったい、どれほど悠花を傷つけていたのだろう。花束どころか、命を差し出しても帳消しにできないほどの罪を負った気分だ。
思わずテーブルに肘をつき、額に手を当てて俯く。
「俺は別にお前を虐めようと思ってるわけじゃなくて、悠花さんのためを思って言ってるんだからな?」
瀬戸山が今さら心配そうに俺の顔を覗き、気遣うような声を出す。
俺は顔を上げないままため息をついた。
「わかってる。悪いのは俺だ」
「お前がそんな風に不器用になったの、高校の頃……ご両親が離婚した時期からだったよな。お母さんが若い男作って家出たんだっけ?」
「……ああ」
俺の両親は、瀬戸山が言うように俺が高校生の頃に離婚している。両者の愛情の重さが不均衡だったことが大きな理由だったようだ。
確かに、記憶の中にいる父は母を繋ぎ止めようと必死だったし、母にはそれが煩わしそうだった。
まだ高校生だった俺にはどちらかというと父がかわいそうに思えて、なんとかやり直せないのかと母に尋ねたことがある。しかし――。
『女って、重すぎる愛情を注がれると冷めちゃうのよ。だから、あなたのお父さんがやっていることは逆効果。ずーっと同じ人に愛され続けるのって退屈だしね』
当時、ちょうど生徒会活動で一緒になった悠花に淡い想いを抱き始めていた俺にとって、母の言い分は衝撃的だった。
同じ人を一心に愛することが、逆の結果をもたらすこともあるのかと。