離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する

 真木さんは本当にそれ以上のことは聞かないでいてくれて、私は安心しながら彼と仕事の話をしていたのだ。

 そこへ突然珀人さんが現れて、私は無理やり会社まで送ってもらうことになった。彼と乗り込んだ車内で、唐突に真木さんの裏の顔について聞かされた。

 普段の彼からは想像もつかない、低俗な一面について……。

「キスマークの件といい、先週ランチに割り込んできた件といい、財前社長はずいぶん嫉妬深いみたいだけど、もしかしてそれが理由でぎくしゃくしてるの?」

 無言でいる私にしびれを切らしたように、真木さんが問いかけてくる。

 しかし、たとえ上司でも、私と珀人さんの仲がこじれている理由までは話せない。

「あの、本当に主人とのことは関係ありません。この間の離婚届の件も、どうか忘れてください。まだ使うと決まったわけじゃないので」

 珀人さんの態度は明かに変わってきているけれど、簡単には絆されたくなくて、離婚届を用意したのだ。

 使用するためというより、お守り代わりという意味合いが強い。

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