天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

 シオン様にふさわしい豪華な部屋を用意しておいたのだ。

 大きくて心地のよいベッド。北側の部屋には窓のない書斎。書斎に置かれた魔術書は、どれも珍しいものばかりだ。

 最先端の魔導具を使い空調管理された部屋。最高級の家具と文具。クローゼットの中身は、シオン様が好むシンプルで肌触りのよい服ばかり集めてある。

 ひとりで使えるバスルームは、いつでも適温のお湯が張られており、食事はベルひとつ鳴らせば、エレベータで部屋に届く。もちろん必要なものがあれば、なんでも用意するつもりである。

 しかし、窓は外へ出られないよう格子をつけ、侵入者を感知するための魔法も施した。魔法で脱出侵入できないよう結界も張ってある。そのおかげで、もちろんエリカの指輪とも通信できない。人権無視もいいところだが、ここまでするのにはわけがある。

 漫画の中で、シオン様はエリカの婚約をきっかけに失踪・自死を考えるようになるからだ。

(それだけは阻止しないと!)

 私はそう考えて、シオン様監禁計画を企てたのである。しかし、ただ監禁するだけでは病んでしまう。

 ある程度はシオン様自身に、「ここにいたい」と感じてもらわなければならない。

 そのため、シオン様が興味を持ちそうなものをたくさん集め、愛の巣を作ったのだった。
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