天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「私の一目惚れと言ったら信じてくださる?」

「信じられるわけなどないだろう。私は髪も瞳も闇色だ。聖なるものから一番遠い」

「闇色? 闇ほど優しいものはないでしょう? 皆を安らぎに導く夜の色です」

 私はそう言うと、シオン様の髪を一筋すくった。

「こんなに美しい髪は見たことがありませんわ。そして、夜空のような瞳には星々が輝いていらっしゃる」

 私の言葉に、シオン様は怖じ気づいたように一歩さがった。

 気の触れたものでも見るような目で私を見ている。

(あ、ちょっとやり過ぎた?)

 私はコホンと咳払いをする。

「し、し、し、心配しなくても大丈夫ですわ! 性的になにかしようとか思ってはおりません!!」

「……性的……」

 シオン様はさらにドン引きである。
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