天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
「ちかいちかいちかい!!」
鼻と鼻が触れあってしまいそうだ。
「夫婦ならこれくらい当たり前だろう?」
抵抗しようとしても、両手はシオン様に捕まれている。
優男のように見えても、力は強くほどけない。
「だめですだめですだめです!!」
「なぜだ? そんなに私が嫌か?」
「シオン様が穢れちゃうっ!! お婿にいけなくなっちゃうわ!」
錯乱して答えると、シオン様はプッと噴き出した。
「今更ほかの者へ婿入りなどできないだろう?」
「へ? それは、どういう……」
シオン様の額が私の額に重なる。温かい堅さに、ここにいる生身の人なのだと実感する。
(ぎゃぁ! 私の息がシオン様にかかっちゃうっ!)
慌てて息を止める。