天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
夜のとばりのようにシオン様の黒髪が落ち、私たちを隠す。
「……許してほしい……」
かすれた声で許しを請われて、私はギュッと瞼を閉じた。
シオン様の両手が私の両手を離す。
その手は私の頬を包み込む。
シオン様の鼻先が、私の鼻を撫で、固く閉ざした唇を指先がなぞる。
(もう無理。もう無理、息ができない!!)
私は自由になった手で、シオン様の胸を押し返した。顔を逸らして大きく息をつく。
「も、もう無理です!! 今日は推しの摂取過剰! キャパオーバーです! おねがいしますゆるしてください!! 幸せが過ぎて死んでしまう~~!!」
「……推し……か……。崇拝する相手と言っていたな」
「そうです! 私にとってシオン様は神と同意! そんなシオン様に私が不埒な思いを抱くなどバチが当たります!」
「……バチが当たる……」
シオン様は呆れた声でため息をつき、ベッドにごろりと横たわった。