天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「そんなことありません!! 恐れ多いというか! 私なんぞが申し訳ないというか!」

「ならここにいて安心させてくれないか?」

 夜の闇に消えていく声は、どこまでも優しく深い。

「は、はひぃ……♡」

 私の胸はキューンと高鳴ってもう抵抗できない。
 おとなしくシオン様のマントに包まれ、私たちは賑やかな町を歩く。振り返る町人たちは、みな一様にニコニコとしている。

(は、はずかしい……いたたまれない……)

 真っ赤になり縮こまってしまう。ヨタヨタしながらシオン様に促されるまま、歩いていくと時計台のもとに到着した。
 シオン様が時計台の門番に挨拶すると、門番は無言で頷き、扉を開ける。
 私たちが中に入ると、扉は静かに閉じられた。
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