天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
「窓が高いから外が見えないだろう?」
すると、彼はいたずらっ子のような目で微笑んだ。
(悪戯な微笑みは危険すぎる~!!)
動揺する私を横目に、シオン様は扉に手を伸ばした。
カチリ、時計の長針と短針が重なりあったその瞬間。
シオン様は出かけに塗った黒いネイルが映える指先で、扉を外に向かって押した。
フワリと入り込んでくる冷たい空気に、凜とした水仙の香りが広がって爽やかだ。シオン様の黒髪が風になびいて美しい。
私がうっとりしてため息をつくと、シオン様が微笑んだ。
その甘やかな視線がトロリと蕩けたチョコレートのようで私まで蕩けてしまいそうだ。