天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
 そして、二階への階段を下っていく。二階は子供たちの部屋で今は無人だ。

 さらに降りると一階は大型の魔獣たちが暮らす厩舎だ。先程私を迎えに来たユニコーンやペガサスのような馬に近いものから、グリフォンなど翼を持つものに、フェンリルなどもいる。

 厩舎は庭と繋がっていて、庭には結界が張られ外からは様子がわからないようになっているのだ。

 半人半馬のケンタウルスがやってきて、小さく礼をする。彼の名は、ケンタウレア。彼はとある貴族に捕まり、虐待されながら知識を搾取されていたため、私が奪い取ったものだ。それ以来、恩返しとして私に知恵を貸してくれている。

 漫画上では、シオン様が失踪後、エリカがシオン様の資料を使い、ケンタウルスの存在を知り助け出すことで、宮廷内の地盤を固めていく。しかし、私が事前に助け出すことにした。

(虐待されているのを知っていて知らないふりなんてできないもの。それに、シオン様失踪の原因エリカが、シオン様の業績を横取りするなんて胸くそ悪いじゃない!!)

 エリカはケンタウルスの発見を、『シオン様ありがとう!』と心の中で感謝するだけで、それ以上なにもしなかった。

(感謝するなら、名誉を回復させるなりしなさいよ!!)

 シオン様強火担の私は、主人公たちを許せないと思ってしまう。原作を思い出すとふつふつと怒りが湧いてくるので、私は気持ちを切り替えた。

「ケンタウレア。あの子は元気?」

 ケンタウレアに確認すると困ったように肩をすくめた。
< 37 / 305 >

この作品をシェア

pagetop