天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
「なかなか食欲が出ないようだ……」
「そう……」
私はため息をつき、シオン様を見上げた。
「こちらへ来てください」
シオン様を厩舎の奥に案内する。
目隠しの魔法がかけられた壁に呪文を唱えると、壁に扉が現れる。そこへ鍵を刺し、中へ入った。
地下へと続く階段を、私とシオン様、光るキノコとケンタウレアで下りていく。
地下は中に住む生き物のために、強固に作られている。危険で希少な生物なため、逃げ出すと周囲に危険がおよぶ心配もあるが、それ以上に奪われたくないからだ。
中にいる生物を見て、シオン様は目を瞬かせた。
「……! これは、ドラゴンの幼獣……!」
黒くて小さなドラゴンが、フカフカなクッションの上でクルンと丸まり目を瞑っている。