天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「ハネムーン? なんですそれ?」

 首をかしげるスタッフに私は説明する。

「結婚後夫婦で初めて行く特別な旅行のことよ。一生に一度だからちょっと奮発して、ふたりだけの思い出を作るのよ」

「結婚を記念してふたりっきりで旅にでるの? 素敵だわ! ロマンチックね!」

 ワイワイと盛り上がるスタッフたち。

(そうだ、この世界には新婚旅行という概念がなかったんだ)

 私はパンパンと手を打った。

「ともかく! 最高の旅を準備しなければならないわ! 目的地は最近駅ができたばかりのハルニレ山脈よ」

 私が命じると、スタッフたちがぞくぞくと提案する。

「それなら、以前から開発を進めていた豪華寝台列車アスターの運行第一弾を、ルピナ様たちの旅行に当てては? 予定より少し早いですが、準備は可能です」

 私は提案に目をキラキラと光らせた。
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