天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「基本のプランでは、一泊目は車内泊、二泊目以降は停車地のホテルを用意していますが、私たちは特別なので車内に宿泊することもできますわ」

「ホテルはループス商会のものなのか?」

 シオン様に尋ねられ、私は思わず笑顔になる。

「そうなんです! おかげでガッポリ稼げるという寸法ですの!」

 シオン様は微笑ましいものでも見るような目で私を見る。

 私は少し恥ずかしい思いで説明を続けた。

「……えー。コホン! ハルニレ山脈のリゾート地に到着したあと、ほかの乗客たちはそこで一週間ほど過ごしてから同じ列車で帰るのが基本プランです。でも、私たちはさらに登山列車を乗り継いで、山の中のコテージ風のホテルに向かおうと思っています。ひと組しか受け入れないので自由に過ごせるかと」

 シオン様はソレを聞き安心したかのように頷いた。やはり、人目を気にしていたのだろう。

「私たちは、一ヶ月ほど滞在するのだったな」

「ええ、薬草を探さなければならないので」

 薬草を名目に滞在期間を延ばし、王都のパレード騒ぎが完全に終わってから帰宅するという寸法だ。
< 90 / 305 >

この作品をシェア

pagetop