天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

 デラックススイートは、列車の先頭車両だ。車両の前方はガラス張りになっており、景色がふんだんに楽しめる。暖炉のある室内に、ソファーも家具もセレスタイト公爵家御用達の家具職人に手作りさせたものを設置している。最上級のベッドに浴室付きで、使用人の控える部屋もある。

「これは……すごいな……」

 シオン様は目を見開いて感嘆した。

「このガラスはどうやって作ったのだ。強度は?」

 好奇心旺盛で勉強熱心なシオン様はそこかしこに興味津々である。

「この豪華寝台列車は、今日が初めての運行です。私たちが、このデラックススイートをはじめて使う客になるんですよ」

 ドヤ顔で自慢すると、シオン様は柔らかく微笑んだ。

「そうか。ありがとう。ルピナ」

 シオン様から礼を言われて、私は心臓を押さえその場に膝をついた。
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