天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~
(っ! く、かっこかわいい……!!)
シオン様はそんな私に手を差し伸べる。
「ルピナ、どうした?」
「い、いえ。なんでも。技術的な詳しいことは私にはわからないので、あとで技術者に説明させますね」
「いや、そういうことは帰ってからでいい」
シオン様が当たり前のように答え、私はジーンと感動する。
(シオン様が……シオン様が、ちゃんと帰ろうと思ってくれている!)
いつも心の片隅では、シオン様が消えてしまうのではないかと不安がくすぶっている。夜空に溶けてしまいそうなシオン様には、儚げな雰囲気があるのだ。
「帰ってから……そうですね。帰ってからでいいですね。今は旅を楽しみましょう!」
「ああ」
「デラックススイート宿泊者は、車内のサービスが全部無料なんです。だから、遠慮なく好きなものを食べて、好きなことをしてくださいませ」
私が提案すると、シオン様は静かに頷いた。