永遠の絆*
諒ちゃんと葵には“行かない”って意地張って言ってたけど、やっぱし実際美術館に行くと自分の気持ちが揺す振られた様になって分かんなかった。


「みぃちゃんは何に迷ってんの?…お金?それともお母さん?それとも葵ちゃん?諒也の事?」

「……」


選択技なんてなかった。

そこから答えを出す事なんて出来なかった。

だって考えてみれば全部当てはまってたから。


そしてもう一つ。

その後、一つはどうしても私自身を揺さぶってた。


「お金は…気にすんなって俺が助けてやる」

「……」

「お母さんの事も心配すんなって。俺がみぃちゃんの代わりに見に行くから」

「……」

「んっと後は葵ちゃんか。まぁ、葵ちゃんは諒也が居るから心配いらねぇだろ?諒也はべつに心配する必要もねえし」

「……」

「で、他は何かあんの?」


次々に発していく翔に耳を傾けながら私は手に握りしめている通帳に視線を落としていた。

正直そんな風に優しく接してくれる事が私には辛かった。


もちろん翔が言った迷ってる事は当たってて、でもそれ以上に迷わせてるのは隣にいる翔だった。

まさか、私が翔に好意を少しでも持ってるなんて思ってないだろうし、そんな事自体想像もつかないだろう。


でも今の私の悩みは半分それに近い。

分かんないけど翔と居ると何でか落ち着くし安心する。

あんなに意地張って翔にヒドイ事言ってたのにも係わらず、ずっと近くに居てくれた翔が私は好き。


「…翔はさ、何で私に構って優しくすんの?」


それが辛い。


「何でって言われても前に言わなかった?傍に居たいって」


じゃあ、何で“行っておいで”なんて言うの?

傍に居たいって言っときながら何で行けって言うの?
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