私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜
「今日メガネじゃないけど見えてる?」

職場ではいつもメガネだったから、休日はコンタクトなのかもしれないけど今日はメガネじゃないんだって…

「あ、あれ伊達なんで」

え?伊達?

「俺視力1.5でいーんですよ、めっちゃくちゃ見えてます」

嘘…?
メガネは嘘ってこと…!?

「なんで?わざわざ会社で伊達メガネって…」

「メガネないと見え過ぎちゃうじゃないですか?」

見え過ぎちゃうって何が?
見えないからメガネかけるんじゃなくて…?

「顔が、よく見え過ぎちゃうんで」

「……。」

ほぉー、なんかいちいちイラッとするかもしれない。

どんだけ自分の顔に自信があるのよ。


いや、いいんだけどね?
すっごくいいんだけどね??


実際お顔はすごくいい…!


「てゆーか衣咲さんこそ」

「え?」

「だいぶ気合い入ってません?」

七瀬くんが下から上、すーっとゆっくり見て。

「それはもちろん!」

うん!と力強く頷いた。

「ここで失敗出来ないから…!」

ふわっとさわやかで上品なワンピースは私の一張羅、この日のために用意した勝負服。

爪だってピカピカに磨いて来た、この日のために。

「職場と全然違いますね」

「……。」

「そんな気張り過ぎもよくないですよ」

「…いいの、これで」

何を言われてもいい、それだけ気合いが入ってるの。

めっちゃくちゃ高いオイルで髪の毛だって姉に負けないぐらいツヤツヤだよ!!

「姉も手強いから…!」

「あ、ここも戦場なんですね。お母様だけかと思いました」

「ここで嘘だってバレたら元も子もないし!」

「まぁそーですね、じゃあ俺もがんばりますよ」

にこっと笑って返された。

確かに、メガネがないとよく見えるねその整ったお顔が。
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