私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜
「衣咲、何してるの~?早く早くー!」

「あ、今…っ」

ヒールを脱いで家の中に入った。

お姉ちゃんの家に来るのはいつぶりだっけ?
あおくんの小学校のお祝いの時にお邪魔した以来だから3年くらい前…?

あの時もちょっと緊張してたなぁ、入学祝い失敗してないかなとかいろいろ考えちゃって。

でも今日は、今日の方が、失敗しないようにって気構えてきたから。


絶対嘘の婚約者だってバレないようにしなきゃー…!


「ねぇ楓くんは衣咲のどこが好きなの?」


いきなりバレそうな質問過ぎるーーー!!!

お茶を入れてもらって座るお姉ちゃんの前、テーブルに肘をつけてその上に顔を置いたお姉ちゃんはニッコニコ楽しそう。

しかも楓くんって!
私でも呼んだことないのに楓くんって!

これ七瀬くん困るよね?
なんて答えようか困るよね!?

私が何か言わないとっ

「あのねお姉ちゃっ」

「がんばり屋、なとこですかね」

ここは私が!って先に話始めようかと思ったんだけど、七瀬くんがゆっくり話し始めたから。

「衣咲さんは人を助けるのが趣味ってくらいなんでも引き受けるですよ」

うぉおい、なんかトゲあるなそれは。何を言おうとしてんのよ。

「わかるわー!それで余計なことして怒られて、無駄な時間を使って無駄な労力に疲れるのよね」

お姉ちゃんまで…
急に共感性得て声のトーン上がってるし。

生まれた時から一緒だもん、お姉ちゃんにそう思われてることはわかってた。

どんくさいなって思われてたんでしょ…!
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