冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
翌朝。

カーテン越しに差し込む柔らかな光の中、私とアルベールは向かい合って簡素な朝食をとっていた。

いつもは冷たく凛々しい皇子が、今はどこか和やかで、時折笑みまで浮かべている。

その姿を見て胸がいっぱいになり、私はパンをちぎる手が震えた。

そこへ扉が開き、マグリットが姿を現した。

「……上手く行ったようですね。」

落ち着いた声に顔を上げると、彼女の視線がテーブルを行き来し、二人並んで食事をとる私たちの様子をしっかりと捉えていた。

「……っ」

思わず赤面し、私はうつむいた。

アルベールも珍しく頬を少し染め、わざとらしく咳払いをする。

「朝食を摂られたら、それぞれお仕事に戻って頂きますよ。」

事務的に告げられ、私は「は、はい」と慌てて返事をした。

だがアルベールはカップを置き、口を尖らせた。

「おいおい、マグリット。少しは余韻というものを味合わせてくれ。何しろ……二人の初夜だったんだぞ。」

その言葉に私はさらに顔を真っ赤にしてしまい、両手で膝の上をぎゅっと握りしめた。

昨夜の甘美な記憶が一気に蘇り、胸が熱くなる。
< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop