冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
そして仲間のひとり、ミレーヌが私の元へやって来た。

「夜伽番、お疲れ様。」

彼女はいつもの穏やかな笑みを浮かべ、労うように声をかけてくれる。

「ありがとう……」

短く返すと、ミレーヌは何も言わずに、私の手元の仕事を手伝い始めた。

黙って一緒に動いてくれるだけで、不思議と心が軽くなる。

やがて彼女は、少しだけ声を潜めて尋ねてきた。

「……皇子は、優しかった?」

やっぱり、そこを気にするのだ。

昨夜から、仲間たちの好奇心はその一点に集中している。

誰もが冷徹と噂される殿下の夜の姿を知りたがっているのだろう。

私は手を止め、ふっと小さく微笑んだ。

「うん……とても優しかったわよ。」

その言葉を口にした瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなる。

ただの夜伽と切り捨てられたはずなのに、あの夜の温もりと囁きは確かに甘く、優しかった。

“優しい”と答えるのは、嘘ではない。

けれど、それを思い出すほどに、切なさがこみ上げてくるのだった。
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