冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
「しかし……アルベール皇子には、心に決めた方がいるのでは?」

恐る恐る口にすると、マルグリットはふっと意味深な笑みを浮かべた。

「それがおまえかもしれないのです。」

「えっ……⁉」

息が止まる。アルベール皇子の恋の相手が……私?

そんなはずはない。私はただの侍女にすぎないのに。

「事前に、殿下に意志を確認いたしました。」

マルグリットはさらりと告げる。

「『エリシアがよければ、任せる』──殿下はそう仰ったのです。」

「っ……!」

全身に熱が駆けめぐり、思わず顔がかぁっと赤くなる。

アルベール皇子が、私を……選んでくださった?

胸の奥に押し込めてきた淡い恋心が、一気に現実へと引き出される。

嬉しいはずなのに、怖い。誇らしいはずなのに、震えが止まらない。

「エリシア。殿下の初夜を、託されるのはおまえです。」

マルグリットの厳しい声が、決定を告げる鐘の音のように響いた。
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