冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
「なぜ……私なのでしょうか。」

思わず口からこぼれた問いに、マルグリットはじーっと私を見つめた。視線の重さに、胸の奥がざわつく。

「エリシアは髪が長くて、どこか令嬢風だからね。それに気さくで、気取らない。……そこをアルベール皇子は気に入ったのでしょう。」

「……長い髪、は好きですけど……。でも、それで皇子に選ばれるなんて……」

指先で自分の髪を触りながら、信じられない気持ちで首を振る。

「本当に、私でいいのでしょうか。」

弱々しく重ねた問いに、マルグリットは大きくため息をついた。

「まったく……自覚がないのね。殿下は他の女をすべて断ったのに、おまえだけを断らなかったのよ。それが何を意味するか、分からない?」

はっと息を呑む。

確かに、誰も彼に受け入れられたことがないと噂されている。けれど私は――拒まれなかった。

そのことが、胸の奥に熱を広げていく。

「アルベール皇子が、私を……」

震える唇で呟いた瞬間、顔が真っ赤に染まる。

夢だとばかり思っていた想いが、現実に引き寄せられていく。
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