冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
「おまえはどうなの?」

マルグリットの問いに、胸の奥がぐらりと揺れた。

「この際、“私は侍女なので”という言い訳はなしよ。」

逃げ場を封じられ、私は息を詰めた。

けれど心に押し込めてきた想いを、もう隠すことはできなかった。

「……私は、アルベール皇子を尊敬しています。いつも誠実で、真面目で……冷徹だと噂されても、本当はとてもお優しい方です。お傍にいられることが、何より幸せで……だから……お傍にいたいと、心から思っています。」

口にした瞬間、頬が熱く染まる。

自分の声が震えているのが分かった。

マルグリットはじっと私を見つめ、そして満足げに頷いた。

「よろしい。」

その声とともに、侍女が一枚の衣を持ってきた。

透き通るように薄いナイトウェア。

手にした瞬間、指先から体の芯まで熱が広がる。

「今から湯浴みをして、これを着なさい。」

「い、今からですか……?」

思わず素っ頓狂な声が出る。

でもマルグリットの眼差しは容赦なかった。

夜伽番の運命が、もう後戻りできない形で迫っているのを、肌で感じていた。
< 8 / 30 >

この作品をシェア

pagetop