無口な人魚姫と粗暴な海賊
 色とりどりの綺麗なお花が咲き誇る野原。

 そよ風に靡くお姫様の美しい髪。

 王子様のお姫様に心を奪われてしまったような胸を焦がすような表情。

 そのどれもが魅力的で、心を掴まれる。
 

 何より心が揺さぶられたのは、お姫様着ているドレス。

 以前、パールはこのようなドレスを見たことがあった。

 船上パーティーとか言って、人間達が船の上でこの絵本のような可愛らしいドレスを着てパーティーをしていた。

 海からその光景を少しだけ覗いただけだったが、パールはその光景が忘れられずにいる。


「そこが気に入ったのか?」


 ダリオスが柔く優しい声色で尋ねた。

 いつもより優しげな声に驚いてダリオスの方をチラッと見る。

 そこには普段と変わらない、鋭い目付きをしたダリオスがいるだけだった。

 
 パールはコクコクと頷くとお姫様のことを指さす。


「このお姫さんか?」


 もう一度頷いてから、今度はお姫様のドレスを上から下になぞる。


「姫さんはこのお姫さんのドレスも気になったのか。」


 そう言うと、ダリオスが本を覗き込む。

 本を覗き込んでからダリオスはパールの顔から胸元にかけて視線を向けたあと、ニヤリと笑った。


「アンタはこのドレスとは無縁そうだな。いつもえっろいビキニだもんな。」


 ダリオスに言われて、パールが自分の胸元を見る。

 薄桃色の布地の胸当てと豊満な胸。

 首からお腹の上にかけて、細い銀色のチェーンは小さな宝石が連なっており、パールの胸元をより美しく彩っている。
 

 至って普通の格好だった。

 しかし、ダリオスの言い方だと、自分がとんでもない破廉恥な女に感じる。

 それは違うだろうと、パールは思いっきりダリオスの肩をバシンッと叩いた。


 しかし、ダリオスは何処吹く風といった様子で、痛がる素振りが一切ない。

 その上、何が楽しいのかゲラゲラと笑い始めた。
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