夜を繋いで君と行く
「…寝顔…は、ごめん、私は見てる…ね。」
「やっぱり?俺も早起きしなきゃだなー。んで、あわよくば激写。」
「…寝顔なんて、すっごく酷いかもしれないよ?」
「顔がどうかっていうより、そこまでの距離を許されたってことの証明が欲しいってだけだよ。まぁ、気長に狙う〜。それよりさ、電気圧力鍋ってどれ?」
怜花は手を止め、キッチンに向かった。最近はあまり使っていなかったのもあって、手前の方ではなく、少し奥の方にしまっていた。
「電気圧力鍋、持っていく?」
「え、これないと、怜花困るんじゃないの?」
「最近使ってなかったし、無水カレーやろうか。簡単だし、カレー作ってる間に別のことできるし。」
「無水カレー!未知のカレーなんだけど!」
「美味しいよ。無水カレーやるならブレンダーも要るね。」
「ブレンダー…?」
律の頭の上にクエスチョンマークが見える。あまりに素直な表情に、怜花はふっと笑った。
「えっと、みじん切りしてもいいんだけど大変なので、この丸いケースに適当に切った野菜を入れて、ここをピッてやるとみじん切り仕様になるという優れものなの。先端を変えれば泡だて器にもなるし、ポタージュスープ作ることもできる。」
「これ1つで?」
「うん。律がやる?」
「やる。だって包丁そんなに上手くなくてもできるんでしょ?」
「うん。簡単だよ。なんて言ったってボタン一つだし。」
「…家事できない奴向けのもの、あるんじゃん結構…。」
「あるよ、ちゃんと。だって誰でも、最初から全部できてたわけじゃないし、時短アイテムもたくさんあるよ。」
「…そっか。すごいね。知らないことがたくさんある。」
律の目はずっと、楽しそうだった。電気圧力鍋もブレンダーも物珍し気に眺めている。電源を入れていないのだからどのボタンを押しても意味なんてないのに、「ここを押したらどうなるのかな?」なんて色々言いながら、持ったり触ったりしている。そんな姿を見ると、その素直さがただただ眩しい。
「知らないことに対して、ワクワクできて、引け目を感じないでいられるの、律の強さだなって思う。…ちょっと羨ましいな。」
いつからなのだろう。ワクワクよりも、大丈夫かなという不安が先立つようになったのは。
「やっぱり?俺も早起きしなきゃだなー。んで、あわよくば激写。」
「…寝顔なんて、すっごく酷いかもしれないよ?」
「顔がどうかっていうより、そこまでの距離を許されたってことの証明が欲しいってだけだよ。まぁ、気長に狙う〜。それよりさ、電気圧力鍋ってどれ?」
怜花は手を止め、キッチンに向かった。最近はあまり使っていなかったのもあって、手前の方ではなく、少し奥の方にしまっていた。
「電気圧力鍋、持っていく?」
「え、これないと、怜花困るんじゃないの?」
「最近使ってなかったし、無水カレーやろうか。簡単だし、カレー作ってる間に別のことできるし。」
「無水カレー!未知のカレーなんだけど!」
「美味しいよ。無水カレーやるならブレンダーも要るね。」
「ブレンダー…?」
律の頭の上にクエスチョンマークが見える。あまりに素直な表情に、怜花はふっと笑った。
「えっと、みじん切りしてもいいんだけど大変なので、この丸いケースに適当に切った野菜を入れて、ここをピッてやるとみじん切り仕様になるという優れものなの。先端を変えれば泡だて器にもなるし、ポタージュスープ作ることもできる。」
「これ1つで?」
「うん。律がやる?」
「やる。だって包丁そんなに上手くなくてもできるんでしょ?」
「うん。簡単だよ。なんて言ったってボタン一つだし。」
「…家事できない奴向けのもの、あるんじゃん結構…。」
「あるよ、ちゃんと。だって誰でも、最初から全部できてたわけじゃないし、時短アイテムもたくさんあるよ。」
「…そっか。すごいね。知らないことがたくさんある。」
律の目はずっと、楽しそうだった。電気圧力鍋もブレンダーも物珍し気に眺めている。電源を入れていないのだからどのボタンを押しても意味なんてないのに、「ここを押したらどうなるのかな?」なんて色々言いながら、持ったり触ったりしている。そんな姿を見ると、その素直さがただただ眩しい。
「知らないことに対して、ワクワクできて、引け目を感じないでいられるの、律の強さだなって思う。…ちょっと羨ましいな。」
いつからなのだろう。ワクワクよりも、大丈夫かなという不安が先立つようになったのは。