夜を繋いで君と行く
「女の家まで行ってるところを目撃されたらまずいんじゃないですか?」
「えーじゃあ俺は声優でいる間、ずっと恋愛できないことになっちゃうじゃん。」
「…まぁ、それは変な話ではありますけどね。声優はアイドルじゃないし、アイドルであったとしても誰かを好きになるのも、別に自然なことで、外野がとやかく言うことではないですし。」
怜花がそう言うと、繋がれていた手にきゅっと力が込められた。そういえば、手を繋いでいたのだ。
「あ、そうでした!手がそもそもだめですね。送る以前に!」
「気にしなくていいって。恋愛してたら仕事減るってわけじゃない。俺はもう少し怜花ちゃんと話したい。それが彼氏の役を引き受けることで成立するなら、俺がそうしたいの。」
「…何か、そんなに興味をもってもらえるようなこと、私、しましたか?」
たった1回、20分くらい一対一で話した程度しか接点がない。しかも自分は、嚙みついたとまではいわないが、警戒はすると宣言もしている。厄介で面倒そうだと思ってほしくてそう言った。しかしそれも承知でまだ話したいと言っているなら二階堂は相当な変わり者だ。
「…あの日、笑ったじゃん。なんか、可愛く。あれをね、また見たいんだよね。久しぶりに人を可愛いって思ったから。」
「またその話…!あの意味のわかんない可愛いの話を蒸し返しますか?」
「うん。一生蒸し返すかも。だからしばらく付き合ってよ。ずっと一人だったら、話し相手くらいにはなってくれるって言ってたじゃん?」
「う…。」
そう。怜花はそれに了承している。その時の会話も、ちゃんと覚えている。
「恋愛感情で付き合いたいんじゃなくて、人として話がしたい。…ここまで言えば、信じてもらえる?俺は偶然男で、怜花ちゃんは偶然女で、傍から見たら恋愛でしか結び付けないように見られちゃうかもしれないけどさ。いきなりそれを前面に出してどうこうしようと思ってないよ。だけどああいう現場を見ちゃったし、立ち会っちゃったから、ちょっと関わらせて。」
「…二階堂さんの迷惑になってないなら。」
「なってない。」
真っ直ぐな瞳が、怜花を捉える。強い視線だったのは一瞬だけで、すぐに穏やかなものに変わった。
「えーじゃあ俺は声優でいる間、ずっと恋愛できないことになっちゃうじゃん。」
「…まぁ、それは変な話ではありますけどね。声優はアイドルじゃないし、アイドルであったとしても誰かを好きになるのも、別に自然なことで、外野がとやかく言うことではないですし。」
怜花がそう言うと、繋がれていた手にきゅっと力が込められた。そういえば、手を繋いでいたのだ。
「あ、そうでした!手がそもそもだめですね。送る以前に!」
「気にしなくていいって。恋愛してたら仕事減るってわけじゃない。俺はもう少し怜花ちゃんと話したい。それが彼氏の役を引き受けることで成立するなら、俺がそうしたいの。」
「…何か、そんなに興味をもってもらえるようなこと、私、しましたか?」
たった1回、20分くらい一対一で話した程度しか接点がない。しかも自分は、嚙みついたとまではいわないが、警戒はすると宣言もしている。厄介で面倒そうだと思ってほしくてそう言った。しかしそれも承知でまだ話したいと言っているなら二階堂は相当な変わり者だ。
「…あの日、笑ったじゃん。なんか、可愛く。あれをね、また見たいんだよね。久しぶりに人を可愛いって思ったから。」
「またその話…!あの意味のわかんない可愛いの話を蒸し返しますか?」
「うん。一生蒸し返すかも。だからしばらく付き合ってよ。ずっと一人だったら、話し相手くらいにはなってくれるって言ってたじゃん?」
「う…。」
そう。怜花はそれに了承している。その時の会話も、ちゃんと覚えている。
「恋愛感情で付き合いたいんじゃなくて、人として話がしたい。…ここまで言えば、信じてもらえる?俺は偶然男で、怜花ちゃんは偶然女で、傍から見たら恋愛でしか結び付けないように見られちゃうかもしれないけどさ。いきなりそれを前面に出してどうこうしようと思ってないよ。だけどああいう現場を見ちゃったし、立ち会っちゃったから、ちょっと関わらせて。」
「…二階堂さんの迷惑になってないなら。」
「なってない。」
真っ直ぐな瞳が、怜花を捉える。強い視線だったのは一瞬だけで、すぐに穏やかなものに変わった。