夜を繋いで君と行く
「…じゃあ、お願いします。名前は出しませんが、存在をお借りします。」
「うん。それで、送りたいんだけどどこまで送って平気?」
「二階堂さんはどうしたいですか?」
「ん-…そうだな。一応ついてきてないとは思うけど、万が一ついてきてたら心配だし、家まで送ってあげたいかな、さすがに今日は。」
「…あの、ちょっといいですか。」
「うん。」
怜花が立ち止まったのに合わせて、二階堂も立ち止まる。
「歴代の彼女にもそんなにずっと優しくしてきたんですか?なんか、つけ込まれたりとか利用されたりとかしてこなかったですか?」
「え、何の話?」
「だって、その顔で絶対モテたのにたかが一人の女に対してそんなにしますか、色々と。」
彼氏役のこともそうだが、二階堂が自分を安売りしているように見えてしまう。怜花にとって都合の良いことばかり言うからでもある。
「…歴代の彼女って言われるとなんか百戦錬磨感出るけど、5、6年くらい彼女とかいないし、だから平均がどんなものかとかいわゆる相場が今はもう全然わかんなくなっちゃってて、だから結構本心で話してるけど、変?」
「変…っていうか、その、忙しいじゃないですか、二階堂さんの方が。」
「え、そうかな?今期はアニメ、1個だけだしそうでもないよ。前クール働きすぎたから、今調整期間なのでそこはそんなに心配しないで。…っていうか、今日は怜花ちゃんが心配される側でしょ、どう考えたって。なんでそんな顔して俺のこと心配すんの?」
ははっと軽く笑いながら、それでも手だけは決して離れず、二階堂が先に足を動かす。手が離れないのであれば歩くしかなく、怜花も歩き出す。
「地下鉄?それともJR?」
「地下鉄です。ここから階段下りて乗ります。」
「はーい。」
怜花は空いてる方の手で自分の頬を触る。自分は今、いったいどんな顔をしているのだろうか。それすらよくわからなくて、頬をつねって伸ばしてみる。
「何してんの?」
「…自分がどんな顔してるのか、よくわかんなくて。二階堂さんに見えてる顔と、私が認識してる顔にズレがあるのかなと。」
「ズレはあるんじゃないかな。今もね、訳わかんないことしてて俺的には面白くて見てて飽きないけど、でも怜花ちゃんは真剣なんだもんね。んで、真剣に俺のことを心配してくれてんのもわかった。怜花ちゃんは多分、自分が思ってるよりちゃんと表情豊かで可愛いよ。」
綺麗だね、美人だね、ではなく何度も重ねられる『可愛い』に対する違和感とも呼べる何かがずっと心に引っかかって、でもそれは決して嬉しくないとか嫌だとか、そういうマイナスの感情ではないことだけは確かだった。
「うん。それで、送りたいんだけどどこまで送って平気?」
「二階堂さんはどうしたいですか?」
「ん-…そうだな。一応ついてきてないとは思うけど、万が一ついてきてたら心配だし、家まで送ってあげたいかな、さすがに今日は。」
「…あの、ちょっといいですか。」
「うん。」
怜花が立ち止まったのに合わせて、二階堂も立ち止まる。
「歴代の彼女にもそんなにずっと優しくしてきたんですか?なんか、つけ込まれたりとか利用されたりとかしてこなかったですか?」
「え、何の話?」
「だって、その顔で絶対モテたのにたかが一人の女に対してそんなにしますか、色々と。」
彼氏役のこともそうだが、二階堂が自分を安売りしているように見えてしまう。怜花にとって都合の良いことばかり言うからでもある。
「…歴代の彼女って言われるとなんか百戦錬磨感出るけど、5、6年くらい彼女とかいないし、だから平均がどんなものかとかいわゆる相場が今はもう全然わかんなくなっちゃってて、だから結構本心で話してるけど、変?」
「変…っていうか、その、忙しいじゃないですか、二階堂さんの方が。」
「え、そうかな?今期はアニメ、1個だけだしそうでもないよ。前クール働きすぎたから、今調整期間なのでそこはそんなに心配しないで。…っていうか、今日は怜花ちゃんが心配される側でしょ、どう考えたって。なんでそんな顔して俺のこと心配すんの?」
ははっと軽く笑いながら、それでも手だけは決して離れず、二階堂が先に足を動かす。手が離れないのであれば歩くしかなく、怜花も歩き出す。
「地下鉄?それともJR?」
「地下鉄です。ここから階段下りて乗ります。」
「はーい。」
怜花は空いてる方の手で自分の頬を触る。自分は今、いったいどんな顔をしているのだろうか。それすらよくわからなくて、頬をつねって伸ばしてみる。
「何してんの?」
「…自分がどんな顔してるのか、よくわかんなくて。二階堂さんに見えてる顔と、私が認識してる顔にズレがあるのかなと。」
「ズレはあるんじゃないかな。今もね、訳わかんないことしてて俺的には面白くて見てて飽きないけど、でも怜花ちゃんは真剣なんだもんね。んで、真剣に俺のことを心配してくれてんのもわかった。怜花ちゃんは多分、自分が思ってるよりちゃんと表情豊かで可愛いよ。」
綺麗だね、美人だね、ではなく何度も重ねられる『可愛い』に対する違和感とも呼べる何かがずっと心に引っかかって、でもそれは決して嬉しくないとか嫌だとか、そういうマイナスの感情ではないことだけは確かだった。