夜を繋いで君と行く
律の言葉に、怜花の胸の奥がきゅっとした。思わず唇を噛む。
「あー…そういう顔しないの。怜花に俺の気持ちがもっと早い段階でバレてたらさ、それはそれで怜花は警戒を強めてたとも思うよ。気付かなかったことが悪い、みたいには思わないでね。それを言っちゃったら、俺が気持ちは固まってるくせにびびって言わなかったことが悪いしさ。」
「…律は悪くない、と思うんだけど。」
「俺の理屈じゃ、怜花は悪くないんだよ。ってことで両成敗。相手を責めることができたら、きっと心はもっと軽くていろんなことが簡単なんだろうなとは思うんだけど、多分俺も怜花もそういう思考回路でできてないよ。」
「…そっか、そうだね。」
「うん。でもだから今、一緒に居られるしデートできる。俺がいろんなもの一緒に選びたいのはさ、怜花がそういう子だからだよ。ってか今日はまだまだ残ってるけどさ、俺に他にしてほしいこととかないの?」
「してほしいこと?」
律はハンドルを握り、前を見つめながら言葉を続けた。
「誕生日って、主役はやりたいことやりつくしていいんじゃないの?」
「そういう日だっけ、誕生日って。」
「わかんないなぁ。誕生日にロクな思い出がないっていうか、例年普通に仕事だし。」
「あ、律の誕生日が知りたい!」
「えぇーまぁ教えるけどさ、そういうのじゃなくて、してほしいことだってば。」
誰かに何かをしてほしいと思うことが基本的にないため、本当に怜花にとっては難題だった。
「…とりあえず、律の誕生日が知りたい。」
「5月6日。」
「ゴールデンウィーク開けだね。」
「うん。なんてことない普通の日だよ。」
「あ、じゃあ律は誕生日、何してほしい?」
「そうだなぁ…。多分平日だけど、怜花には会いたい。」
「…してほしいことって聞いたんだけど。」
「え、だから会いに来てほしい。外で待ち合わせしてもなんでもいいけど、俺に会おうとしてほしい、かな。」
「他に!それを参考に考えるから。」
「んー…言われると難しいね。怜花の苦悩がわかった、今。」
「でしょう?」
してほしいことを叶えたいという気持ちはお互いにあるのに、その肝心の『相手にしてほしいこと』は浮かばない。
「…だってさ、怜花はもう充分、俺のしてほしいことっていうか、欲しかったものくれてるからね。あったかいご飯、あったかい空間、ほっと一息つける匂い。そういうの、欲しかったんだなぁ人並みにはって、怜花と一緒に居ると自覚する。…ってことは、もしかして怜花も同じなのかな。」
「あったかい空間とほっと一息つける匂いってのは、…うん、そうだね。わかるかも。私はよく眠れる場所をもらってるかな、律に。」
他にもたくさんあるけれど、全部は恥ずかしくて口にはできない。
「あ、そうだ!一つしてほしいこと、思いついた!」
「お、やったー!何?帰ったらやろう。」
「あー…そういう顔しないの。怜花に俺の気持ちがもっと早い段階でバレてたらさ、それはそれで怜花は警戒を強めてたとも思うよ。気付かなかったことが悪い、みたいには思わないでね。それを言っちゃったら、俺が気持ちは固まってるくせにびびって言わなかったことが悪いしさ。」
「…律は悪くない、と思うんだけど。」
「俺の理屈じゃ、怜花は悪くないんだよ。ってことで両成敗。相手を責めることができたら、きっと心はもっと軽くていろんなことが簡単なんだろうなとは思うんだけど、多分俺も怜花もそういう思考回路でできてないよ。」
「…そっか、そうだね。」
「うん。でもだから今、一緒に居られるしデートできる。俺がいろんなもの一緒に選びたいのはさ、怜花がそういう子だからだよ。ってか今日はまだまだ残ってるけどさ、俺に他にしてほしいこととかないの?」
「してほしいこと?」
律はハンドルを握り、前を見つめながら言葉を続けた。
「誕生日って、主役はやりたいことやりつくしていいんじゃないの?」
「そういう日だっけ、誕生日って。」
「わかんないなぁ。誕生日にロクな思い出がないっていうか、例年普通に仕事だし。」
「あ、律の誕生日が知りたい!」
「えぇーまぁ教えるけどさ、そういうのじゃなくて、してほしいことだってば。」
誰かに何かをしてほしいと思うことが基本的にないため、本当に怜花にとっては難題だった。
「…とりあえず、律の誕生日が知りたい。」
「5月6日。」
「ゴールデンウィーク開けだね。」
「うん。なんてことない普通の日だよ。」
「あ、じゃあ律は誕生日、何してほしい?」
「そうだなぁ…。多分平日だけど、怜花には会いたい。」
「…してほしいことって聞いたんだけど。」
「え、だから会いに来てほしい。外で待ち合わせしてもなんでもいいけど、俺に会おうとしてほしい、かな。」
「他に!それを参考に考えるから。」
「んー…言われると難しいね。怜花の苦悩がわかった、今。」
「でしょう?」
してほしいことを叶えたいという気持ちはお互いにあるのに、その肝心の『相手にしてほしいこと』は浮かばない。
「…だってさ、怜花はもう充分、俺のしてほしいことっていうか、欲しかったものくれてるからね。あったかいご飯、あったかい空間、ほっと一息つける匂い。そういうの、欲しかったんだなぁ人並みにはって、怜花と一緒に居ると自覚する。…ってことは、もしかして怜花も同じなのかな。」
「あったかい空間とほっと一息つける匂いってのは、…うん、そうだね。わかるかも。私はよく眠れる場所をもらってるかな、律に。」
他にもたくさんあるけれど、全部は恥ずかしくて口にはできない。
「あ、そうだ!一つしてほしいこと、思いついた!」
「お、やったー!何?帰ったらやろう。」