夜を繋いで君と行く
* * *
「もこもこパジャマ、やっぱり可愛い!緑って新鮮!」
先に風呂に入ってソファーで怜花を待ちわびていた律は、ネイビーのボーダーのもこもこしたパジャマを着ている。今日律が色違いお揃いがいいと言い続けて粘り勝ちした一品だった。怜花の方はデザインは同じでボーダーが深緑だった。
「で、待ってました!髪乾かすの!」
「…そんなにワクワクして髪乾かそうとする美容師だっていないと思うよ。」
「え?だってなんか、彼氏の特権って感じしない?やったことないし、女の子の髪乾かすのとか。」
「私も、やってもらったことない。…でも、髪長いし、切ればいいんだけど美容室も苦手であんまり行きたくなくて…結果ドライヤーが面倒だからやってもらえたらありがたいなって…。」
「やるやる!」
律にやってもらってギリギリ、罪悪感が湧かないものがこれだった。律が嫌がったらもちろんやってもらうつもりはなかったが、提案したら思いのほかノリノリで、今この状態である。
「はい、座って!背中にクッションいる?」
「クッションは…持つ。」
「はい!」
やけにテンションが高くてニコニコの律に、怜花も笑みを零す。ドライヤーのコンセントがささった音がする。
「では、いきます。素人なので美容師みたいに上手くはないからそこは妥協してね。」
「自分でやらなくていいってことが大事なんだよ、私は。」
「うん。」
ぶおーという音と一緒に、律の指が遠慮がちに怜花の髪の間を撫でていく。
「熱い?なんかあったら言ってね、すぐ。」
「熱くないよ。もっと強いのにしても大丈夫。」
「わ、わかった…!」
律が何かと器用であることは料理を手伝ってくれる姿からもわかっている。最初こそ遠慮がちだった手は慣れてくると、少しずつ雑に手が動いていく。そんな風に触れられることは今までに一度もなくて、妙に新鮮な気持ちになる。少しだけ頭が揺れるが、程よい熱さと指先の動きが心地よくて、ふわあと怜花の口からは欠伸が零れた。
「眠くなっちゃった?」
「ちょっとね。律の手が気持ちいいの。上手。」
「ほんと?俺、怜花の髪乾かすのちょっとハマりそう。尽くしてるって感じする!」
(そもそもがかなり尽くしてくれていると思うけどな…。まず今日だって1円も出させてくれなかったし。)
怜花がこの家で過ごしやすいように、と思って律が増やしたものは数知れない。食器やキッチン用品もだがクッションだってスカートだって、今着ているパジャマだって全て律が買ってしまった。律は時間もお金も少しも惜しまない。
(…申し訳ないなって思う前に、ありがとうって言えるように…なりたいんだけどな。)
「もこもこパジャマ、やっぱり可愛い!緑って新鮮!」
先に風呂に入ってソファーで怜花を待ちわびていた律は、ネイビーのボーダーのもこもこしたパジャマを着ている。今日律が色違いお揃いがいいと言い続けて粘り勝ちした一品だった。怜花の方はデザインは同じでボーダーが深緑だった。
「で、待ってました!髪乾かすの!」
「…そんなにワクワクして髪乾かそうとする美容師だっていないと思うよ。」
「え?だってなんか、彼氏の特権って感じしない?やったことないし、女の子の髪乾かすのとか。」
「私も、やってもらったことない。…でも、髪長いし、切ればいいんだけど美容室も苦手であんまり行きたくなくて…結果ドライヤーが面倒だからやってもらえたらありがたいなって…。」
「やるやる!」
律にやってもらってギリギリ、罪悪感が湧かないものがこれだった。律が嫌がったらもちろんやってもらうつもりはなかったが、提案したら思いのほかノリノリで、今この状態である。
「はい、座って!背中にクッションいる?」
「クッションは…持つ。」
「はい!」
やけにテンションが高くてニコニコの律に、怜花も笑みを零す。ドライヤーのコンセントがささった音がする。
「では、いきます。素人なので美容師みたいに上手くはないからそこは妥協してね。」
「自分でやらなくていいってことが大事なんだよ、私は。」
「うん。」
ぶおーという音と一緒に、律の指が遠慮がちに怜花の髪の間を撫でていく。
「熱い?なんかあったら言ってね、すぐ。」
「熱くないよ。もっと強いのにしても大丈夫。」
「わ、わかった…!」
律が何かと器用であることは料理を手伝ってくれる姿からもわかっている。最初こそ遠慮がちだった手は慣れてくると、少しずつ雑に手が動いていく。そんな風に触れられることは今までに一度もなくて、妙に新鮮な気持ちになる。少しだけ頭が揺れるが、程よい熱さと指先の動きが心地よくて、ふわあと怜花の口からは欠伸が零れた。
「眠くなっちゃった?」
「ちょっとね。律の手が気持ちいいの。上手。」
「ほんと?俺、怜花の髪乾かすのちょっとハマりそう。尽くしてるって感じする!」
(そもそもがかなり尽くしてくれていると思うけどな…。まず今日だって1円も出させてくれなかったし。)
怜花がこの家で過ごしやすいように、と思って律が増やしたものは数知れない。食器やキッチン用品もだがクッションだってスカートだって、今着ているパジャマだって全て律が買ってしまった。律は時間もお金も少しも惜しまない。
(…申し訳ないなって思う前に、ありがとうって言えるように…なりたいんだけどな。)