夜を繋いで君と行く
「できたっ!乾いてないなってところ、ある?」
丁寧に仕上げてくれたおかげでいつもよりも指通りがいいし、髪全体がつるんとしている気がする。
「ありがとう。助かっちゃった。」
「またやらせて~。楽しかった。」
「楽しかった?」
「うん。ちょっと眠気に抗う怜花も可愛かったし、するんって髪が指の間抜けていくの、面白かったから。あと、ずーっと合法的に怜花に触れんのもいいよね。」
「合法的にって…。」
怜花がじっと見つめると、ドライヤーを片付けながら律が口を開いた。
「目がちょっととろんってしてるね。寝よっか。」
「あ、え、えっと、律。」
「んー?」
「ちょ、ちょっとソファに座ってほしい…んだけど。」
「うん?あ、ドライヤー置いてくるからちょっと待って。」
「うん。」
(…今日1日、いろんなことをしてもらったから…返したい。律のしたいことも、ちゃんと。)
勇気が必要だ。でも、勇気は出せる。どんな自分でも律の前なら大丈夫だとまでは言えないけれど、それでも今日は、伝えたいと思う。
「くっつくくらい隣に座っちゃっていいの?」
「…う、うん。」
「え、何?なんで神妙な顔してるの?」
「…律、こっち見ないで座っててね。」
「なんで?」
「なんでも。」
「…わかった。」
怜花は律がこっちを見ていないのを確かめてから、ぎゅっと律の腕に抱きついた。
「えぇ~今ぁ?これ、怜花の方見ちゃダメなの?」
「ダメ!」
「うわぁ~…めちゃくちゃ勿体ないことしてない、俺?」
「と、ともかく!ちょっとまず話を聞いてほしいの。」
「うん。はい、いいよ。」
我ながら大胆なことをしているという自覚はある。だが、律が今日してほしいと言ったのは、これだった。外では恥ずかしくてできなかったけれど、家の中でならばなけなしの勇気をかき集めれば何とかなる。…何とかなっていると思いたい。
「…今日は、ありがとう。…あの、誕生日が朝からっていうか、日付が変わった瞬間から今日が終わるまでずっと楽しかったのって、覚えてる限りじゃ初めてかもしれなくて…。だから、…ありがとう。」
怜花は抱きつく力を強めた。いつも抱きしめてくれるのは律だ。だから、腕を伸ばして体を寄せる、そして自分でその手に力を入れるというのはこんなにも緊張して、心臓がうるさくなるということを初めて知る。こういう甘えた自分は外では出したくない。そんな自分の気持ちを尊重して待ってくれた律に、近付きたかった。家の中という、今怜花が一番安心できる場所で。
丁寧に仕上げてくれたおかげでいつもよりも指通りがいいし、髪全体がつるんとしている気がする。
「ありがとう。助かっちゃった。」
「またやらせて~。楽しかった。」
「楽しかった?」
「うん。ちょっと眠気に抗う怜花も可愛かったし、するんって髪が指の間抜けていくの、面白かったから。あと、ずーっと合法的に怜花に触れんのもいいよね。」
「合法的にって…。」
怜花がじっと見つめると、ドライヤーを片付けながら律が口を開いた。
「目がちょっととろんってしてるね。寝よっか。」
「あ、え、えっと、律。」
「んー?」
「ちょ、ちょっとソファに座ってほしい…んだけど。」
「うん?あ、ドライヤー置いてくるからちょっと待って。」
「うん。」
(…今日1日、いろんなことをしてもらったから…返したい。律のしたいことも、ちゃんと。)
勇気が必要だ。でも、勇気は出せる。どんな自分でも律の前なら大丈夫だとまでは言えないけれど、それでも今日は、伝えたいと思う。
「くっつくくらい隣に座っちゃっていいの?」
「…う、うん。」
「え、何?なんで神妙な顔してるの?」
「…律、こっち見ないで座っててね。」
「なんで?」
「なんでも。」
「…わかった。」
怜花は律がこっちを見ていないのを確かめてから、ぎゅっと律の腕に抱きついた。
「えぇ~今ぁ?これ、怜花の方見ちゃダメなの?」
「ダメ!」
「うわぁ~…めちゃくちゃ勿体ないことしてない、俺?」
「と、ともかく!ちょっとまず話を聞いてほしいの。」
「うん。はい、いいよ。」
我ながら大胆なことをしているという自覚はある。だが、律が今日してほしいと言ったのは、これだった。外では恥ずかしくてできなかったけれど、家の中でならばなけなしの勇気をかき集めれば何とかなる。…何とかなっていると思いたい。
「…今日は、ありがとう。…あの、誕生日が朝からっていうか、日付が変わった瞬間から今日が終わるまでずっと楽しかったのって、覚えてる限りじゃ初めてかもしれなくて…。だから、…ありがとう。」
怜花は抱きつく力を強めた。いつも抱きしめてくれるのは律だ。だから、腕を伸ばして体を寄せる、そして自分でその手に力を入れるというのはこんなにも緊張して、心臓がうるさくなるということを初めて知る。こういう甘えた自分は外では出したくない。そんな自分の気持ちを尊重して待ってくれた律に、近付きたかった。家の中という、今怜花が一番安心できる場所で。