夜を繋いで君と行く
「いつもいきなりするのにっ…なんでそういうこと聞くの!?」
「だって苦しくさせちゃうかもだから。」
律は怜花の変化には敏感だった。怜花が苦しそうにするとすぐにキスを止める。そして怜花の呼吸が落ち着くまで待ってくれる。しかし、こうやって断りを入れるということは苦しそうにしても止めないつもり、なのかもしれない。そんなことを思う。怜花は律をじっと見上げた。
「ん?心決まった?」
「…苦しくなったら…どうしたらいいの?」
「苦しいのは、…怖い?」
怜花は素直に頷いた。おそらく肺活量的にはもっと呼吸はもつはずなのに、『苦しいかもしれない』と少しでも思ってしまうと途端に『苦しい』に思考が変わる。
「…すごく、前に…なんだけど…。」
「うん。」
「口を塞がれたことと…首を絞められたことがあって…。その…それ以降は…彼氏って呼べる人は…いないんだけど…。」
「…うん。」
「…キスするの、律が5年ぶりとか…それ以上かもしれなくて…だから…あの、律がずっと優しいキスだったから苦しくて怖いとかなかったんだけど…わかんないの、どうやったら苦しいのが怖くならないのか。」
「…もう本当に嫌だそいつ。」
「…ごめんね、律のことは怖くないよ、誤解しないでね。」
怜花がそう言うと、律はしばらく沈黙した。そして意を決したように口を開いた。
「…上書き、したい。」
「え?」
「怖いの、ちょっとでも怜花の中から消したい。…やだ、そういう怖い気持ちが怜花の中にいっぱいあるの。幸せって思うものだけで心の中いっぱいにしてほしい。…俺とのキスは、嫌じゃないよね?」
怜花は頷いた。そしてゆっくりと微笑む。
「…うん。恥ずかしいけど、幸せってこういうのなのかもって、思う。…あの、苦しいってすぐなっちゃうかもだけど…それでもいい?」
「…それはこっちのセリフだよ。上書きしたいのは本当だけど、無理してほしくないよ。」
「律だったら…大丈夫かなって思うし、私も消えてってほしい、こういう記憶。」
「…じゃあ、練習しよっか。まだしたことない、キス。」
「う…わ、私はどうしたら…?」
「んー…そうだなぁ。いいよ、まずは何もしなくて。何かしたくなったら何でもしていいし。まずはいつものちゅーね。」
そう言うと、律の唇が怜花のものに重なった。律の手がそのまま怜花の顔を引き寄せる。緊張はなくなっていないのに、その手の温度に勇気づけられて、怜花はその甘さをただ受け取った。
「だって苦しくさせちゃうかもだから。」
律は怜花の変化には敏感だった。怜花が苦しそうにするとすぐにキスを止める。そして怜花の呼吸が落ち着くまで待ってくれる。しかし、こうやって断りを入れるということは苦しそうにしても止めないつもり、なのかもしれない。そんなことを思う。怜花は律をじっと見上げた。
「ん?心決まった?」
「…苦しくなったら…どうしたらいいの?」
「苦しいのは、…怖い?」
怜花は素直に頷いた。おそらく肺活量的にはもっと呼吸はもつはずなのに、『苦しいかもしれない』と少しでも思ってしまうと途端に『苦しい』に思考が変わる。
「…すごく、前に…なんだけど…。」
「うん。」
「口を塞がれたことと…首を絞められたことがあって…。その…それ以降は…彼氏って呼べる人は…いないんだけど…。」
「…うん。」
「…キスするの、律が5年ぶりとか…それ以上かもしれなくて…だから…あの、律がずっと優しいキスだったから苦しくて怖いとかなかったんだけど…わかんないの、どうやったら苦しいのが怖くならないのか。」
「…もう本当に嫌だそいつ。」
「…ごめんね、律のことは怖くないよ、誤解しないでね。」
怜花がそう言うと、律はしばらく沈黙した。そして意を決したように口を開いた。
「…上書き、したい。」
「え?」
「怖いの、ちょっとでも怜花の中から消したい。…やだ、そういう怖い気持ちが怜花の中にいっぱいあるの。幸せって思うものだけで心の中いっぱいにしてほしい。…俺とのキスは、嫌じゃないよね?」
怜花は頷いた。そしてゆっくりと微笑む。
「…うん。恥ずかしいけど、幸せってこういうのなのかもって、思う。…あの、苦しいってすぐなっちゃうかもだけど…それでもいい?」
「…それはこっちのセリフだよ。上書きしたいのは本当だけど、無理してほしくないよ。」
「律だったら…大丈夫かなって思うし、私も消えてってほしい、こういう記憶。」
「…じゃあ、練習しよっか。まだしたことない、キス。」
「う…わ、私はどうしたら…?」
「んー…そうだなぁ。いいよ、まずは何もしなくて。何かしたくなったら何でもしていいし。まずはいつものちゅーね。」
そう言うと、律の唇が怜花のものに重なった。律の手がそのまま怜花の顔を引き寄せる。緊張はなくなっていないのに、その手の温度に勇気づけられて、怜花はその甘さをただ受け取った。