夜を繋いで君と行く
「…答えにくいというか、その、いい思い出がないもので。手を繋ぐ以前に、何か楽しいことしたっけ…とか考えたらちょっと言葉に詰まっただけです。なので手は繋いでいません、ほとんど。自分から手を繋いでほしいって言えるタイプでもありませんしね。」
「なんで?」
「え?」
「怜花ちゃんに言われたら、みんな喜んで手を繋ぐでしょ?」
「それは私が言えたら、そうだったかもしれないですけど。」
「言えないのは、どうして?」
二階堂の普段の声は、不思議なほど夜に馴染む。少し低くて、でもどこか甘さの残る声が真っ直ぐに怜花に問う。
「…そうだなぁ…どうしてだったんだろう。手を繋ぐみたいな可愛いことは、私に似合わないって思ってるから…かな、しいて言えば。」
「そっか。まぁでも手を繋ぐの、俺は楽しいからやるけどね。」
「…二階堂さんの負担にならないのならなんでもいいです。」
「なってないよ、何一つ。ところで怜花ちゃんはいつも夕飯はどうしてるの?」
「そうですね、食べたり食べなかったり、色々です。」
「食べない!?」
心底驚いた顔で怜花を見つめる二階堂に、怜花は笑った。
「作るのが面倒な時は食べなくていいやーってなっちゃうんですって。毎日外食するほどの財力はないですし。」
「作るんだ?」
「元気があって、何か猛烈に食べたければですけどね。今日はどこで食べるんですか?」
「それを聞こうと思ってたんだよね。何か苦手なもの、ある?」
「これといって特には。高すぎるものだと食べ慣れてなくて何かわからないみたいなことはあると思いますけど、一般的なところなら何かしら食べれると思います。」
「じゃあ、今俺が一番食べたいーって気分のやつでもいい?デート向きではないんだけど。」
「いいですよ。何です?」
「担々麺!」
「あ、いいですねそれ。担々麺って言われたから、担々麺を食べたい口になりました。」
「やった。じゃあ行こう?こっから近いし。こっち。」
二階堂の手が怜花を楽しそうに引く。そんな姿が少し子供っぽく見えて、二階堂に気付かれないように少しだけ下を向いて怜花は笑った。
「なんで?」
「え?」
「怜花ちゃんに言われたら、みんな喜んで手を繋ぐでしょ?」
「それは私が言えたら、そうだったかもしれないですけど。」
「言えないのは、どうして?」
二階堂の普段の声は、不思議なほど夜に馴染む。少し低くて、でもどこか甘さの残る声が真っ直ぐに怜花に問う。
「…そうだなぁ…どうしてだったんだろう。手を繋ぐみたいな可愛いことは、私に似合わないって思ってるから…かな、しいて言えば。」
「そっか。まぁでも手を繋ぐの、俺は楽しいからやるけどね。」
「…二階堂さんの負担にならないのならなんでもいいです。」
「なってないよ、何一つ。ところで怜花ちゃんはいつも夕飯はどうしてるの?」
「そうですね、食べたり食べなかったり、色々です。」
「食べない!?」
心底驚いた顔で怜花を見つめる二階堂に、怜花は笑った。
「作るのが面倒な時は食べなくていいやーってなっちゃうんですって。毎日外食するほどの財力はないですし。」
「作るんだ?」
「元気があって、何か猛烈に食べたければですけどね。今日はどこで食べるんですか?」
「それを聞こうと思ってたんだよね。何か苦手なもの、ある?」
「これといって特には。高すぎるものだと食べ慣れてなくて何かわからないみたいなことはあると思いますけど、一般的なところなら何かしら食べれると思います。」
「じゃあ、今俺が一番食べたいーって気分のやつでもいい?デート向きではないんだけど。」
「いいですよ。何です?」
「担々麺!」
「あ、いいですねそれ。担々麺って言われたから、担々麺を食べたい口になりました。」
「やった。じゃあ行こう?こっから近いし。こっち。」
二階堂の手が怜花を楽しそうに引く。そんな姿が少し子供っぽく見えて、二階堂に気付かれないように少しだけ下を向いて怜花は笑った。