夜を繋いで君と行く
「あ、そうだ。怜花ちゃんの会社って土日が休みっていう認識で合ってる?」
「はい、土日と祝日、いわゆるカレンダー通りの休みです。」
「じゃあ、金曜の夜ならちょっと帰り、遅くなっても大丈夫だったりする?」
「…何を企んでますか?」
「うわ!一気に怪しむじゃん。えっと、興味があったらでいいんだけど、映画に付き合ってほしいなって。」
「映画、ですか?初回は担々麺で2回目が映画?」
「…いや、それはね、おっしゃる通りっていうか、デートの初回は担々麺ではないよね、それはさすがに俺もわかってる。」
二階堂の表情は面白い。バーベキューの時には気付かなかったが、意外とコロコロ変わるし、わかりやすい。この人が何故声優界では
クールだとかミステリアスだとか言われているのか、わからない。確かに配信などでたまに見る二階堂はここまでお喋りでもないし、表情豊かでもない。上手く言い表せないが、『役』からはみ出ないようにしているようにも見える。声優が役以上に前に出ることをあまりよく思っていないんじゃないかと思うような静かさみたいなものを感じるというのが、一番しっくりくる言い回しかもしれない。
「デートじゃないですしね、今日のは。帰宅途中の夕ご飯、ですから。」
「ノーカンにしてくれるってこと?次の映画がデート初回っていう…。」
「あの、なんでデートにこだわるんですか?必要ないですよね、それ。」
「え、付き合ってたらデートするよね?」
「…すぐお忘れになるようだから改めて言いますけど、仮ですよね?」
「うん。でも俺の負担にならないならなんでもいいって言ったよね?」
「…っ…記憶力が異常にいいですね、二階堂さん。」
怜花は少し悔しくて、テーブルの上で拳を握った。それが面白かったのか、二階堂がははっと軽く笑う。
「俺、実は結構学生時代、頭良かった方のタイプで記憶力は抜群にいいんだよね。だから一度言われたこと、ちゃんと覚えてるよ。」
「…なるほど。発言には気をつけます。」
「超警戒モードなのもわかってるけど、そんなに警戒しないでいいよ。怜花ちゃんが嫌がることはしないし、全部大丈夫か聞くし。ただ怜花ちゃんと話すのが楽しいから続けたいだけ。」
やはり、嘘を吐いているようには見えない。どうしたって。提案はするけれども、自分が嫌だと言えばこの人は引くだろう、ということはここまでのやり取りで何となくわかってきた。
「はい、土日と祝日、いわゆるカレンダー通りの休みです。」
「じゃあ、金曜の夜ならちょっと帰り、遅くなっても大丈夫だったりする?」
「…何を企んでますか?」
「うわ!一気に怪しむじゃん。えっと、興味があったらでいいんだけど、映画に付き合ってほしいなって。」
「映画、ですか?初回は担々麺で2回目が映画?」
「…いや、それはね、おっしゃる通りっていうか、デートの初回は担々麺ではないよね、それはさすがに俺もわかってる。」
二階堂の表情は面白い。バーベキューの時には気付かなかったが、意外とコロコロ変わるし、わかりやすい。この人が何故声優界では
クールだとかミステリアスだとか言われているのか、わからない。確かに配信などでたまに見る二階堂はここまでお喋りでもないし、表情豊かでもない。上手く言い表せないが、『役』からはみ出ないようにしているようにも見える。声優が役以上に前に出ることをあまりよく思っていないんじゃないかと思うような静かさみたいなものを感じるというのが、一番しっくりくる言い回しかもしれない。
「デートじゃないですしね、今日のは。帰宅途中の夕ご飯、ですから。」
「ノーカンにしてくれるってこと?次の映画がデート初回っていう…。」
「あの、なんでデートにこだわるんですか?必要ないですよね、それ。」
「え、付き合ってたらデートするよね?」
「…すぐお忘れになるようだから改めて言いますけど、仮ですよね?」
「うん。でも俺の負担にならないならなんでもいいって言ったよね?」
「…っ…記憶力が異常にいいですね、二階堂さん。」
怜花は少し悔しくて、テーブルの上で拳を握った。それが面白かったのか、二階堂がははっと軽く笑う。
「俺、実は結構学生時代、頭良かった方のタイプで記憶力は抜群にいいんだよね。だから一度言われたこと、ちゃんと覚えてるよ。」
「…なるほど。発言には気をつけます。」
「超警戒モードなのもわかってるけど、そんなに警戒しないでいいよ。怜花ちゃんが嫌がることはしないし、全部大丈夫か聞くし。ただ怜花ちゃんと話すのが楽しいから続けたいだけ。」
やはり、嘘を吐いているようには見えない。どうしたって。提案はするけれども、自分が嫌だと言えばこの人は引くだろう、ということはここまでのやり取りで何となくわかってきた。