夜を繋いで君と行く
「仕方ない話ではあるんだけどさ、雑誌やインタビューの効果ってのは大きくて、良くも悪くもあれはイメージを作るんだよね。俺も本当はこんな感じだけど、こんな感じでインタビューで喋んないじゃん。わざわざインタビューされてるんだから多少なりとも作るし、そこに素顔の自分を持っていこうなんて今も昔も思わない。だからまぁ、思ってたのと違うとは言われるわけ。」
「…それは…その、思ってたってイメージを本人にぶつける方が悪いような気がしますけどね。」
「ね。」
二階堂の手がきゅっと怜花の手を優しく、それでいて少し強く握った。
「怜花ちゃんは押し付けてこないじゃん。イメージとかそういうのを。そういうのが心地いいんだろうなって。だから余計、じっと観察しちゃうんだよね。何考えてんだろうとか、笑わせるにはどうしたらいいかなとか。」
「笑わせようとしてるんですか、私のことを。」
「最初はね。でも今はそういうのを気にしなくても、結構笑ってくれるからそれも楽しい。バーベキューの日に、みんなに振りまいてたのとは違う顔の笑いだからね、俺が言ってんのは。」
「…何が違うのか、わからないんですけどねそれ。」
「可愛いやつ。可愛いじゃんそれーってやつ。」
「…ますますわかんないんですって。そもそも、私は『可愛く』はないので。」
「なんでそう思うの?」
不意に落ちた二階堂のトーンに、怜花は二階堂の方に顔を一度向けた。そして視線を足元に移して、ぽつりと呟いた。
「…私にとっての『可愛い』っていうのは里依みたいな子のことなんですよ。一生懸命で素直で愛される子。つい応援したくなる子。そういうのが『可愛い』なんです。」
「うん。そういうのも可愛いんじゃない?」
「そういうのもって何ですか?」
「怜花ちゃんが言う『可愛い』もわからないではないよ。確かに椎名さんは三澄に対して素直で一生懸命で、それは可愛い姿だっただろうし、三澄もたまんねーってなってたし、否定しない。でも俺の『可愛い』と共存するよ、全然。あと、怜花ちゃんが言う素直、一生懸命って言葉はさ、そっくりそのまま怜花ちゃんにも当てはまってるから大丈夫。」
「な、何が大丈夫なんですか!」
「怜花ちゃんは自分が思ってるより可愛いことしてるって。面白いこともしてるけど。」
言い返そうとした怜花の言葉を封じるように、二階堂がまた繋いでいた手を大きく振る。その揺れに引っ張られて、反撃させてもらえなかった。
「…それは…その、思ってたってイメージを本人にぶつける方が悪いような気がしますけどね。」
「ね。」
二階堂の手がきゅっと怜花の手を優しく、それでいて少し強く握った。
「怜花ちゃんは押し付けてこないじゃん。イメージとかそういうのを。そういうのが心地いいんだろうなって。だから余計、じっと観察しちゃうんだよね。何考えてんだろうとか、笑わせるにはどうしたらいいかなとか。」
「笑わせようとしてるんですか、私のことを。」
「最初はね。でも今はそういうのを気にしなくても、結構笑ってくれるからそれも楽しい。バーベキューの日に、みんなに振りまいてたのとは違う顔の笑いだからね、俺が言ってんのは。」
「…何が違うのか、わからないんですけどねそれ。」
「可愛いやつ。可愛いじゃんそれーってやつ。」
「…ますますわかんないんですって。そもそも、私は『可愛く』はないので。」
「なんでそう思うの?」
不意に落ちた二階堂のトーンに、怜花は二階堂の方に顔を一度向けた。そして視線を足元に移して、ぽつりと呟いた。
「…私にとっての『可愛い』っていうのは里依みたいな子のことなんですよ。一生懸命で素直で愛される子。つい応援したくなる子。そういうのが『可愛い』なんです。」
「うん。そういうのも可愛いんじゃない?」
「そういうのもって何ですか?」
「怜花ちゃんが言う『可愛い』もわからないではないよ。確かに椎名さんは三澄に対して素直で一生懸命で、それは可愛い姿だっただろうし、三澄もたまんねーってなってたし、否定しない。でも俺の『可愛い』と共存するよ、全然。あと、怜花ちゃんが言う素直、一生懸命って言葉はさ、そっくりそのまま怜花ちゃんにも当てはまってるから大丈夫。」
「な、何が大丈夫なんですか!」
「怜花ちゃんは自分が思ってるより可愛いことしてるって。面白いこともしてるけど。」
言い返そうとした怜花の言葉を封じるように、二階堂がまた繋いでいた手を大きく振る。その揺れに引っ張られて、反撃させてもらえなかった。