夜を繋いで君と行く
冴えた目と優しい手
* * *
結局ソファーに二人並んで座って、ライブ2日分のブルーレイを見終えた。合間に挟まれる舞台裏の話が面白かったのもあって、時折笑いが落ちて、まるで友達と過ごしているような楽しさと気楽さがあった。
気が緩みすぎたのか、不意に睡魔に少しだけ襲われて欠伸をしてしまった。もちろん口元は隠したが、それを見た二階堂はくすっと笑ってから時計を見た。
「うわ、結構時間経ってる。怜花ちゃんはシャワー派?湯船つかる派?」
「…人様の家に来て絶対湯船つかりたいですって、普通言わないなって思う派です。」
「本当はどっち?」
「冬で寒さが厳しかったり、入浴剤使いたい日は湯船にお湯はりますけど、普段はシャワーです。」
「じゃあお先にどうぞ。」
「え、家主を差し置いて?」
「えーだって怜花ちゃんの方が髪を乾かすとか、色々あるのかなって。」
「…まぁ、そうですね、髪乾かすの、時間がかかるのでじゃあ先に入らせていただきます。」
「うん。ごゆっくり。」
怜花は着替えなどを詰めた小さめのトートを持って、バスルームに向かった。ドアを閉めて、ふぅーと長く息を吐く。せっかく緩んでいた緊張が、また戻ってきてしまっていた。
(…だめだなぁ。お風呂に入る、寝る。それなしで泊まりなんてできるわけないってわかってるのに。)
生活するのに普通に必要なことで、そこに他意を含ませる気が二階堂にないのはわかっているのに、服を脱ぐということに少しの躊躇がある。そんなことを考えていたら、二階堂の声が少し遠くの方から飛んできた。
「言うの忘れてたー!棚の上の方にタオルあるから適当に使って!っていうか何使っても大丈夫だからー!」
そんなに声を張らなくたって聞こえるのに、山で叫んでいるのかと思うくらいに声が出ていて、妙にツボに入って思わす笑いが零れる。近くまで来ないのは二階堂が『距離を取る』と言っていたものを守っているからでしかない。怜花はスッと服を脱いだ。少し熱いお湯にして、弱気な自分も全て流してしまいたい。そんなことはきっと無理だろうとは思うものの、余計なことを考えてそれが態度に出てしまう前に、そして何よりこれ以上二階堂に気を遣わせないために、気持ちだけは強く持ちたいと思って怜花はお風呂のドアを開けた。
結局ソファーに二人並んで座って、ライブ2日分のブルーレイを見終えた。合間に挟まれる舞台裏の話が面白かったのもあって、時折笑いが落ちて、まるで友達と過ごしているような楽しさと気楽さがあった。
気が緩みすぎたのか、不意に睡魔に少しだけ襲われて欠伸をしてしまった。もちろん口元は隠したが、それを見た二階堂はくすっと笑ってから時計を見た。
「うわ、結構時間経ってる。怜花ちゃんはシャワー派?湯船つかる派?」
「…人様の家に来て絶対湯船つかりたいですって、普通言わないなって思う派です。」
「本当はどっち?」
「冬で寒さが厳しかったり、入浴剤使いたい日は湯船にお湯はりますけど、普段はシャワーです。」
「じゃあお先にどうぞ。」
「え、家主を差し置いて?」
「えーだって怜花ちゃんの方が髪を乾かすとか、色々あるのかなって。」
「…まぁ、そうですね、髪乾かすの、時間がかかるのでじゃあ先に入らせていただきます。」
「うん。ごゆっくり。」
怜花は着替えなどを詰めた小さめのトートを持って、バスルームに向かった。ドアを閉めて、ふぅーと長く息を吐く。せっかく緩んでいた緊張が、また戻ってきてしまっていた。
(…だめだなぁ。お風呂に入る、寝る。それなしで泊まりなんてできるわけないってわかってるのに。)
生活するのに普通に必要なことで、そこに他意を含ませる気が二階堂にないのはわかっているのに、服を脱ぐということに少しの躊躇がある。そんなことを考えていたら、二階堂の声が少し遠くの方から飛んできた。
「言うの忘れてたー!棚の上の方にタオルあるから適当に使って!っていうか何使っても大丈夫だからー!」
そんなに声を張らなくたって聞こえるのに、山で叫んでいるのかと思うくらいに声が出ていて、妙にツボに入って思わす笑いが零れる。近くまで来ないのは二階堂が『距離を取る』と言っていたものを守っているからでしかない。怜花はスッと服を脱いだ。少し熱いお湯にして、弱気な自分も全て流してしまいたい。そんなことはきっと無理だろうとは思うものの、余計なことを考えてそれが態度に出てしまう前に、そして何よりこれ以上二階堂に気を遣わせないために、気持ちだけは強く持ちたいと思って怜花はお風呂のドアを開けた。